効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

東レの炭素繊維事業

この数日の間に、東レ炭素繊維事業の強化に力を入れ始めたとする報道が幾つかなされている。最初に気づいたのが、東レはオランダの炭素繊維加工大手、テンカーテ・アドバンスト・コンポジット・ホールディングス(TACHD)を買収するという3月15日に出ているものだ。買収額は1200億円規模とみられるが、同社は炭素繊維を低コストで効率よく加工する技術に優れ、欧州エアバスなどと取引がある。シェア40%強と世界首位の炭素繊維の生産から加工までの一貫体制を築き、競合他社を引き離す。親会社であるロイヤル・テンカーテから全株式を取得する。東レとしては過去最大の買収となる。次いで29日に報じられたものだ。東レハンガリー炭素繊維の生産を増強する。100億円強を投じて子会社に工場を新設し、生産能力を2割以上引き上げるとみられる。主に風力発電機の部材向けに供給する。欧州で火力発電が退潮し風力など再生可能エネルギーが盛り上がっていることに対応する、というもの。これを追いかけるように4月6日に報道されたのは、東レ炭素繊維の生産能力を増強するとしたものだ。子会社の米ゾルテックが現在1万トンのハンガリー工場の年産能力を2020年にも1万5000トンまで増やす。投資額は約1億3000万ドル(約137億円)。現在進めているメキシコ工場での設備増強を含めると、米ゾルテック全体での年産能力は2万5000トン以上になるという。今回増産するのは「ラージトウ」と呼ばれる炭素繊維で、風力発電機のブレード(羽根)などに使われる。
この一連の報道を見ると、東レがこれまでの航空機事業用の他に、海外の風力発電事業で使われる炭素繊維製品の大手供給事業者になろうとしていることは確かだ。