効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■炭素繊維

炭素繊維は軽量で剛性が高く、航空機の翼や導体によく使われる。絶えず振動し、内圧と外圧の差で大きな力がかかるのに長時間たえなければならないからだ。だが、それに適した安定した性能を持つ炭素繊維製品を大量に製造するのは難しいようだ。報道記事で知ったことだが、その炭素繊維の世界市場で東レ帝人三菱ケミカルの3社で世界シェアは優に5割を超える。中でも、その半分を占める東レはこの分野の最大手だ。

軽くて強い炭素繊維の特性が最も生かせる分野の一つが航空機向けで、東レは率先して市場を開拓し、米ボーイング社の中型機「787」で主翼や胴体など機体の主要部分向けに独占供給し、確固たる地位を築いてきた。それだけにコロナ禍を受けてボーイングが787の減産を決めた衝撃は大きく、同社は787の生産ペースを従来の月間14機から2021年に6機まで落とす計画で、そのおありを受けて東レ炭素繊維複合材事業は21年3月期には11年ぶりに赤字転落する見通しだという。

航空機用途の不調が影を落とす一方、風力発電用途は予想以上の好調ぶりで業績を下支えしている。日本では風力発電設置規模は太陽光発電より小さいが、欧米では風力発電の方が大きい。これから洋上風力発電が拡大しようとしているが、日本も最近洋上風力発電には力を入れる方針を示している。風力発電のプロペラは,風の強弱で絶えずしなりとねじりの力が加わるため、炭素繊維で造った羽根でないとすぐ駄目になってしまう。東レの20年4~6月期決算で炭素繊維複合材事業の売上高は、前年同期比26.2%減の454億円、事業利益は73.4%減の17億円。炭素繊維のうち航空宇宙関連の売上高が40%減少し、炭素繊維複合材事業が大幅な減収減益となりながらも、黒字を確保できたのは風力発電用途が堅調だったおかげだ。

これから風力発電の規模は、一基1万キロワットを超えるようになっている。それに使われる炭素繊維の量も増大するはずで、航空機用を追い越すことは確実だろう。国内で洋上浮力発電が急速に拡大すれば、その技術開発にも大きく貢献できるだろう。これまで風力、太陽エネルギー利用分野では海外メーカーに牛耳られてきたが、プロペラという不可欠な部品技術の技術開発で先手をとることも可能になる。プロペラには落雷もあり、炭素繊維の高い導電性もおそらくプラスに働くだろう。今後の急成長を期待したい。

 

 

 

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