効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

再エネで作る水素のサプライチェーンについて新たな実証

環境省は、低炭素な水素サプライチェーンの実証を行う事業の2018年度1次公募で、NTTデータ経営研究所と大成建設が、それぞれ代表事業者として提案した2事業を採択したと発表した。太陽光発電風力発電からの電気を使って水を電気分解すると、その電気は火力発電からのものと違ってCO2を排出しないで作られたものとなり、地球温暖化抑制に貢献できる。これをその場所で使うだけでは利用範囲が狭いので、広域で利用しようとすると、どのように水素を移動させるかという新しい物流システムが開発されなくてはならない。環境相は、地域の再生可能エネルギーからの水素製造・貯蔵・輸送・利用までを一貫して実証する、「地域連携・低炭素水素技術実証事業」(低炭素な水素サプライチェーン実証事業)を2015年度より実施している。今回、2018年度の新規事業の公募を実施。応募のあった5件のうち、上記の2件を採択したということだ。
NTTデータ経営研究所は、秋田県能代市で、風力発電により製造した水素を都市ガスに近似したガスに混合し、ガス配管により隣接地に設置した利用場所へ供給。市販ガス機器において、水素混合ガスを実際に使用する。事業期間は2年間を予定。
大成建設は、北海道室蘭市で、風力発電により製造した水素を、水素吸蔵合金タンクを搭載したトラックで輸送後、建物に設置された定置用水素吸蔵合金にホース接続により水素を移送。燃料電池から建物へ電気・熱を供給する。事業期間は2年間を予定。
大成建設のプロジェクトは水素吸蔵合金を使うから、合金の能力と耐久性が課題だが、NTTデータ経営研究所のプロジェクトはどうやら都市ガス配管を利用して水素を輸送することを内容とするもののようだ。都市ガスは燃焼特性が厳密に管理され、それに対応してガス機器が使用されるため、水素を混入することで燃焼特性は変動する。需要の近傍で混入するようだが、燃料電池は良いとしても、瞬間湯沸器などは燃焼に問題が出るかも知れない。実証試験の結果を見たいものだ。