今日の午後半日、燃料電池開発情報センター(FCDIC)が開催したオンラインセミナーに参加した。午後1時から5時半までという長丁場。しかし、これまで断片的に理解していた水素社会における燃料電池の役割について、具体的な勉強をすることができた。端的に言うと、日本は世界に周回遅れの実用開発状況にある。太陽光発電と同じように、日本は技術開発で先頭を走っていたのだが、政府の統一的な推進施策が欠如したために、欧米、中国、韓国に、実用化について完全に負けてしまっている。その一番理由は、グリーン水素を生産するのに不可欠な太陽光・風力発電といった再生可能エネルギーの設置量が決定的な差を付けられているからだ。
お隣の韓国では国を挙げて燃料電池の開発を進め、欧州・中国では燃料電池トラック、バス、列車といった移動体への利用が急伸している。水素利用について日本ではまだ全てが実証試験の段階だが、他の国では実用化が実現し、その市場拡大への政策的後押しも充実している。日本も最初の構想自体は美しいものだったが、作っただけでそれを推進する母体が存在しなかったのだ。
欧米は水素需要として2030年に1,400万トン以上を見込み、中国は量的な目標は設定していないが、2930年に1,000カ所の水素ステーションを設置し、半分以上に再エネ水素を供給するとしている。日本は2030年には30万トンの水素供給を目標としているに過ぎない。よく知らなかったことで、鉄鋼産業の水素利用が欧米で具体化しているということだ。日本ではまだ実証試験もされていないはず。鉄鉱石を直接水素で還元して鉄を作る。石炭を利用しないから炭酸ガス排出量は激減する。
日本で燃料電池列車の実証試験が2023年からJR東とトヨタで行われるが、ドイツでは既に毎日走行している路線があるし、英仏でも近く導入されることになっている。米国では燃料電池フォークリフトが普及しているが、日本ではまだ実証段階。
再エネ水素の製造コストも、日本の再エネ自体のコストが大きいし、設置量も少ないから十分な量すら確保することができない。太陽光発電の日本市場で、当初は日本製品が圧倒的だったものが、今では8割以上が輸入に頼っている。同じことが水素利用で起きようとしている。1日も早く具体的な施策を打ち出さなければ、周回どころか2周遅れになりかねない。これが今日実感したことだった。
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