東京都内最大級の複合開発となる「HARUMI FLAG」は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地に、住宅棟23棟5,632戸と商業施設からなる大規模な街を開発するもので、多くのエネルギー需要が見込まれる。ここでの各街区における大容量のエネルギー情報データを一元管理し、効率的なエネルギー運用を日立製作所が、建築事業に参画する特定建築者11社とともに、AIによる電力需要予測機能を搭載したエリアエネルギーマネジメントシステム(AEMS)を導入すると発表している。この住宅棟の多くには家庭用燃料電池エネファームが設置されることになっているが、全体に電力と熱を供給するコージェネレーションも設置されるし、このコージェネ自体に大型の燃料電池が使われるかも知れない。
というのは、この報道によると、近隣に整備される水素ステーションからパイプラインを介して、日本で初めて本格的なインフラとして水素が供給され、敷地内に設置された純水素型燃料電池(PEFC)により電力を供給するとされているからだ。水素のパイプライン供給は九州の新日鉄から近くの団地の燃料電池に供給する実証試験が行われていたが、市街地での中心となるエネルギーの供給を担うのは初めての試みだ。水素ステーションでは主として再エネからの電力で水素が作られるのだろうが、その頃までにこの水素設備のコストが下がらなければ、天然ガスから作る水素になるだろう。水素のほか、太陽光発電と蓄電池などを活用する多重インフラの街となっているため、複雑なエネルギー管理も求められることから、住宅中心の街づくりでありながらAEMSを導入し、各街区の電力消費傾向を予測し、年間の水素利用計画を立案・運用する。この街区は全体としてエネルギーの自給自足にすることができるはずだから、一般の送電系統との関係では、仮想発電所になると想定される。
ピーク抑制を目的とするエネルギー利用計画の立案では、電力需要予測に基づいてその使用量のピーク時間帯を街区単位で判定し、太陽光パネルと連動する蓄電池の充放電計画や純水素型燃料電池(PEFC)の運転計画を立案し、その運転計画に合わせて、空調や照明など共用設備の制御運転を自動で実施するというから、複雑なAIシステムが日常的に使われる。この成果は今後の市街地開発にも応用されて、エネルギー効率が高く、災害への対応も万全となる都市の実現への歩みの一歩となると期待される。
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