効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■中国のエネルギー政策

中国がエネルギーからの炭酸ガス排出量削減に向けて示した計画量は世界を驚かすものだったろう。だが、これは中国の安全保障にも関わるものだけに、その達成に多面的な対応をするだろう。具体的には、2030年迄に炭酸ガス排出量の上昇のピークを下げ、2060年迄にカーボンニュートラルにするという習近平が示した道筋には、具体的な方策は示されていなかったが、国民生活の安定を保証し、国際的な関係の安定を目指したものだと思う。

中国には豊富な石炭資源があり、風力発電太陽光発電が急伸し、水力発電原子力発電の建設も急ピッチで進んでいる。とはいえ、国民の生活水準が上がるために、エネルギー需要は国内だけで賄うには当分の間大幅に不十分。どうしても輸入に頼らなければならない。石炭でも5%は輸入に頼っているし、天然ガス消費の43%、石油消費の69%を輸入に頼っている。しかも、その輸入元は、アメリカ自体と、アメリカの影響下にあるオーストラリアや中東諸国だから、それらの国との摩擦はできるだけ避けたいところだ。

輸入はタンカーによって運び込まれるが、その航路も同様にアメリカの影響下にある諸国沿岸や海峡を通らなければならないから、通行を安定的に維持するために、軍事力も加えた外交政策をとらざるを得ない。東南アジアやアフリカ諸国、さらには南米の港湾施設の建設を支援し、その見返りに中国がそれらの港で有利な利用条件を確保している。

これからは石炭火力の脱カーボン技術を開発して、石炭に頼らざるを得ない途上国に売り込むだろう。さらには、原子力発電についても、中国の資金で建設を推進する方向に向かうと予想できる。発電能力を拡大することで電気自動車の普及を促進する。それらの技術は、習近平が示した長期エネルギー政策の中で育成され、欧米に囲い込まれる前に途上国との関係を親密にし、エネルギーだけでなく国際経済そのものを管理できる力を育てようとしているように見える。

アメリカ大統領トランプ氏の場当たり的な外交政策は,一見中国を囲い込んでいるようだが、次第にアメリカが押し込まれる方向に向かうのではないかと感じる。中国の深謀遠慮だ。

 

 

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