効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

オーストラリアとカーボンタックス

昨年アボット新政権が生まれたオーストラリアは、先進国の中でカーボンタックスを廃止した最初の国になった。石炭を燃料に使う火力発電や鉄鋼などと言った産業が排出するガスに含まれる二酸化炭素の量に応じて課税して、そのコストを引き下げるためにエネルギー効率を上げさせようとするものだが、石炭など二酸化炭素を多量に排出する資源を多く保有する国として、国内産業の活力を下げると新政権は考えて廃止したものだ。目標以上に排出量を削減した企業は、その差分をカーボン市場に売ることができるという排出権取引制度も国際的にあるが、欧州で典型的に見られるように、その取引価格が低迷していることも一つの要因だろう。低迷しているということは、エネルギー効率を上げるのに成功した企業が多くなりすぎて、排出権の取引価格が下がってしまっているからだ。オーストラリアのこの環境政策変更は、今後各国に伝搬するかもしれない。米国のオバマ政権は、石炭火力発電の稼動を禁止させるに近い厳しい環境規制を最近実施したが、オーストラリアの環境政策がこの動きに大きな水を差すかもしれない。EU諸国は強く反発しているが、おなじような方向を持つエネルギー政策が生まれるかもしれない。