効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

高圧直流送電と遮断機

高圧直流送電は、同じ電圧であれば交流よりも遙かに送電損失が少なく、かつ、電線路の数も少なくて済み、安定度も高いようだ。交流の場合には、三相で送るため、帰路も含めて4本の電線が必要だが、直流の場合には2本(地面を帰路に使えば1本で済むが、地上の電気設備に障害を起こすこともあるため2本が普通)で送電線コストは下がる。また、海底に敷設するには交流は使えないので、洋上風力発電の増加に伴って、海底設置の高圧直流送電線も増えている。陸上では、北米、中南米、欧州、中国と遠距離送電に使われている高圧直流送電線の数は多くなっている。日本ではまだそのような長距離のものはなく、海底電線と送電系統の安定化のために一部使われているだけだ。
今後世界的に高圧直流送電が増え、データセンターなどには直流供給を受けるところも出ている。ここでの問題は、直流は遮断するのが難しく、高圧直流を安定、安全に遮断する方式は未熟だと聞いていた。おそらくその解決に向けてのことだと思うが、米国のエネルギー省が、高圧直流送電の有効な遮断方式開発に向けて1,500万ドルの資金を準備したという情報が入ってきた。このブレーカー・プロジェクトが順調に進めば、高圧直流送電の設置数、距離は大きく伸びるだろう。この情報によれば、このプロジェクトが順調に進展すれば、米国の劣化した送電網の改善が大きく進むとしている。これまで高圧直流の遮断機は、欧州のメーカーが技術的に進んでいたのだが、米国として、劣化していると言われる送電系統を改善し、これから力を入れようとしている洋上風力発電の進展にも備えようとしているのだろう。最近の高圧直流の遮断機は大容量の高圧半導体を利用しているものが多いようだが、ここに日本の技術力を反映することは出来ないのだろうか。