効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■浮体式洋上風力発電の想定外のトラブル

昨日書いた浮体式洋上風力発電の撤去で、想定外のトラブルがあったらしいという報道記事を紹介したものについて、想定外のトラブルとはどのようなものか、というコメントが寄せられた。当然想定していたトラブルはあったのかというコメントもあったのだが、当事者しかこれに解答することは無理。日本で最初の浮体式洋上風力発電の実証試験機だから、既に先行していた設置事例の調査は当然行ったいたはずだ。しかし、その設備の海外メーカーがどの程度情報を開示したか分からないが、多分公式発表された数値と、その海域の風況調査情報を参照できただけに止まっただろう。また、その海外事例にどのようなトラブルが発生していたかも詳細はおそらく分からなかったと思う。

したがって、この福島プロジェクトでは、この付近の風況を基本情報として、設備の設計が行われたと想定される。将来の実用化を目指すものだから、目標としては少なくとも10年は稼働させて、目標とする発電コストを達成するというものだったろう。部品の取り替えなどは当然計算に入っているし、致命的な破損は起きないように設計されていたはずだ。しかも、洋上風力はタワーが揺れるのだから、その揺れ幅も想定されていたはずだ。だが、自然現象は人間の予測できない領域がある。それに参考となる事例がある。

2003年のことだが、台風14号が襲った宮古島で、沖縄電力保有する6基(合計出力 2,900kW)の風力発電設備のうち、3基が倒壊、 2基がブレード破損、1基がナセル損傷等の被害を受けた。宮古島地方は、10 日 17 時頃か ら 11 日 17 時頃まで約 24 時間暴風域に入り、宮古島で 11 日 03 時 00 分に最大風速、北 の風 38.4m/s、11 日 03 時 12 分に最大瞬間風速、北の風 74.1m/s(沖縄気象台速報、沖 縄県内で歴代4位、全国で歴代7位)が観測されている。 これらの発電設備は、タワーも含めて商用のものだし、宮古島は台風銀座だから、強風への対応は十分過ぎるほどの条件で設計していたはずだ。それでもこの事故が起きたというのは、まさに想定外。ブレード破壊とナセル損傷は、ある程度想定されたものだったかも知れないが、3基が倒壊したというのはまさに想定外。強風が、タワーが置かれた基礎に与える力を予測して基礎を作っていたはずだが、1基ではなく3基というのだから、基礎の設計の条件に入らなかった何かがあったはずだ。事故報告書によると、台風 14 号の風速評価は、宮古島の市街地模型を用いた風洞実験と、風力発電サイトに おける地形・地表面粗度を考慮した数値モデルを用いた 3 次元気流解析により、風車設 置地点での各ユニットのハブ高さで風速値を推定している。建設前に行ったシミュレーションでも同じような計算をしたはずだが、それでは見つからなかった要因があったのだろう。このようなものが想定外と言えるのかも知れない。

一方、銚子沖の海底設置型の風力発電は、実証期間を過ぎても商用運転に入っているということは、起きたトラブルが想定内のもので、稼働を継続しても発電コストが大きく上がることにはならないと考えられたからだろう。トラブルは必ず起きるものだが、それが稼働の継続性を疑わせるものでなければ、想定内となるのだと理解している。

 

 

 

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