廃棄プラスチックはこれまで殆どが中国などに輸出して処理されてきた。だがその輸出先が廃プラの輸入を減らしたり禁止するようになり、大量の廃プラが積み上がるようになっている。それに対応した動きだが、東京都が5月中旬から、廃プラスチックを有効活用するための実証実験を始める。業界団体と民間企業などと連携し、工場の燃料として使う。中国や東南アジアなどで廃プラ輸入制限が進むなか、国内での新たな資源循環ルート構築を図ると報じられている。
まず産業廃棄物の中間処理をする事業者が廃プラを集約し、連携するセメント工場(北海道、大分県)に船舶で共同輸送し、製造工程で燃料として活用する。2工場で年間1000トン使用する予定。燃料を石炭から切り替えることで、CO2削減にもなる。実証は22年3月末までとされている。
これは東京都に留まらず、全ての自治体に共通する課題だが、ただゴミ処理として燃やすのでは、問題解決にはならない。セメント製造にはこれまで大量の石炭が使われてきたが、高温加熱ができれば他の燃料でも問題は無い。だが、セメント工場のある場所は限られている。このような対応が難しいとすると、ゴミ処理で燃焼させ、その熱を使って発電する方法も検討の対象になる。東京都は既にこの方式は実施済みかも知れない。
2019年に出された資料によると、日本の 2016 年のプラスチック廃棄物(廃プラ)は約 900 万トン(密度 1.0 として東京ドーム約 7 杯分)で、内訳は産業系約 500 万トンと一般系(自治体系)約 400 万トンである。処理方法としては、マテリアルリサイクル 23%、ケミカルリサイクル(高炉・コークス炉原料、ガス化)4%、サーマルリサイクル(セメント燃料、廃棄物発電、熱利用)57%が主で、この 3 つを合わせると 84%と高いリサイクル率である。しかし、課題は、①マテリアルリサイクル 23%のうちの 16%は海外輸出によるリサイクルであり、国内で実施されたリサイクル比率は7%と非常に少ない。国内リサイクルの約 80%は ペットボトルで、他の物のリサイクルは進展していない。
東京都の実証実験で有効性が確認されると、他でも進むだろうが、プラスチックを燃料とした発電の実証試験をするほうが、全国展開をするのがやりやすいだろう。奈良市でも新しいゴミ処理場が建設されることになっているが、発電への利用はぜひやってほしいと思っている。
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