効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■MOX燃料棒、初めての取り出し

 MOX燃料は、原子力発電所で1度使い終わった核燃料を再処理して作ったウラン・プルトニウム混合酸化物。原発の使用済み核燃料から取り出したウランとプルトニウムを混ぜて作る。これを国内では製造できないので、フランスに委嘱して作って貰っているはず。そして、この核燃料を使える原発は限られている。これを使用していた四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の原子炉から初めて使用済みのものが取り出された。6体の使用済み核燃料から1体のMOX燃料が作れる。資源エネルギー庁は通常の原発MOX燃料を使うプルサーマルについて「1~2割の資源節約効果があり、放射性廃棄物の量を減らせる」としているが、問題は使用済みMOX燃料の行き先だ。一般のウラン燃料は使い終わった後、青森県六ケ所村に建設中の日本原燃の再処理工場で再処理し、MOX燃料に加工する。使用済みMOX燃料は通常のウラン燃料と組成が異なり、原燃の再処理工場では再処理できない。ウラン燃料より多くのプルトニウムを含み、放射線量が高く、発熱量も高いためだ。当面は原発の使用済み燃料プール内で保管することになる。廃棄物としてそのまま処分する手段もあるが、政府はMOX燃料も再処理する方針を示している。しかし、MOX燃料を再処理できる「第2再処理工場」の建設計画は宙に浮いた状態だ。八方塞がりだと言って良かろう。

 海外では6000体以上の利用実績があり、国内では2009年に九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で初めてMOX燃料による発電が始まった。これまでに玄海3号機、伊方3号機、関西電力高浜3、4号機(福井県高浜町)の計4基で実施。今後の利用を予定する原発も含めると約220体を電力5社が保有している。日本の核燃料サイクルは発電に使う原子炉を現行の軽水炉から、次世代炉の一つとされる高速増殖炉に移すことを前提としてきた。プルトニウムを主要な燃料とし、発電時に消費した以上のプルトニウムを作ることから「夢の原子炉」ともいわれていた。国はいずれ全ての軽水炉高速増殖炉に置き換える「夢」を描き、第2再処理工場に高速炉に使う燃料を作る役割を持たせることも検討していた。しかし、福島第1原発事故で原発の新設や建て替えはおろか、再稼働すらままならない状態に陥り、高速増殖炉開発は原型炉の「もんじゅ」(福井県敦賀市)でトラブルが相次ぎ、十分な実績もないまま廃炉が決まった。高速炉開発が混沌とする中、使用済みMOX燃料の行方も不透明なままだ。

  原燃の工場が稼働するまで国内の原発では使用済みの燃料がたまり続ける。電気事業連合会によると、19年9月時点で、全国17原発で約1万6000トンがたまっている。このうちの多くが、いずれMOX燃料に加工されることになっている。それが使用された後どうなるかが見えないのが現状。日本の原子力利用政策は完全に行き詰まっているのだが、国はこれを認めようとしていない。MOXだけでなく、全ての使用済み核燃料の行方が見えないのに国はどう対応するのだろうか。

 

 

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