効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■全固体樹脂Liイオン電池

 低コスト、燃えない、設計の自由度が高いーー。そんな三拍子が揃った夢のLi(リチウム)イオン2次電池の量産が始まると、4日に報じられた。それによると、三洋化成工業とベンチャー企業のAPBは2020年3月2日、ほぼ全てを樹脂で構成する新型リチウムイオン2次電池「全樹脂電池」の量産工場を、福井県越前市に新設すると発表したとのこと。2021年に量産を開始する見込みで、今後3~4年で年間生産電池量1GWhを目指している。事業規模は5~10年で数千億円規模に拡大させる計画。製造する全樹脂電池はB to B用途を想定しており、主にエネルギー事業者などが長期間利用する「定置用電池」だとする。ということは、ユニット単位の蓄電池容量はかなり大きなものとなるだろう。しかし、現時点では石油などの化石燃料による発電よりも、再生可能エネルギーと電池を組み合わせたシステムの方が、コストが高くなってしまうのが課題だという。だが、この差は次第に小さくなりつつあり、アンシラリーサービスも含めれば、そして、温暖化ガスを排出させないシステムとしての評価をコスト算定で組み込めば、十分引き合うものとなるに違いない。

 全樹脂電池は、従来のリチウムイオン2次電池に比べて、安全性の高さや設計自由度の高さ、そして低コストであることが利点とされる。例えば、積層して直列接続できることで接続部品点数が減らせて小型軽量化ができる。このほか、積層によって厚みを従来のリチウムイオン2次電池の5倍以上にできたり、1つ当たりの面積を広くしたりと、電池の大型化にも適する。すでに畳1畳分の大きさの全樹脂電池を生産できるという。この発表では経年変化について触れられていないが、液状の電解質に比べて、時間の経過による内部抵抗の増加が大きいのではないだろうか。ただ、着火爆発の危険が殆どなくなるのは、もし寿命が短くなったとしても、広く採用されるに違いない。日本で世界に貢献する技術が開発・商品化されたのは嬉しいことだ。