効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■北海道に再エネ企業団地

 北海道石狩市北海道電力と組み、再生可能エネルギー由来の電力を使用する国内最大規模の企業団地を運営する新会社を設立すると発表した。2021年にも設立して大型の蓄電池を導入し、供給を安定化。電気自動車(EV)活用の2次交通など新ビジネスも創出し、需要拡大の機能も担うということだ。石狩市の出資は2分の1未満に抑え、筆頭株主にはならない方針。残りは北電や企業団地に立地する他の民間企業が出資する。石狩市が過半の出資をしなかったのは事業経営への不安だったのだろうか。日本海に面した石狩湾新港には北電の天然ガス火力発電所があり、再エネの計画も目白押し。石狩市内では22年度の稼働を予定する洋上風力発電(出力10万キロワット)や木質バイオマス発電(5万キロワット)をはじめ、大規模な再エネ計画が相次いで動き出している。

 石狩市は40年までに、再エネ発電量では国内最大規模となる2,660万キロワットの企業団地を構築する。新会社は再エネを売りに企業の新規進出や市内への投資を呼び込み、地域内で電力需要があれば発電所を新しく誘致したり、電力を融通してくれる企業を探したりすると報じられている。それにしてもこの団地向けの供給電力規模は驚くほど大きい。新規の再エネも含めて全部を取り込んでも足らないのではないだろうか。これから洋上風力の大規模なものが建設されるが、その完成は数年先になるから、その間のつなぎもどうするのだろうか。

 ここに設置される蓄電池が住友電工レドックスフロー電池であることも少なからず驚きだ。材料である五酸化バナジウムのコストが下がらないため住友電工はこの電池の開発を一時諦めていたと聞いたことがある。新しい素材を開発したのだろうか。最終決定ではないようだから、他の方式に変更されるかも知れない。風力発電が主力になるだろうから、その出力変動を抑制するためには、何らかの蓄電装置は必要であることに変わりはない。団地の消費電力規模が大きいだけに、蓄電コストは大きくなるだろう。この前書いた、炭田のリフトで蓄電する方式を試みるのも想定してはどうかと思う。新たに建設する再エネだけでなく、固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り期間を終えた「卒FIT」からも電気を調達するが、公共施設や家庭への電力販売はしない。電力価格を工業団地に入る事業者に魅力的なほど下げることができるだろうか。

 石狩市は北電や北海道ガスなどの協力を受けながら、20年度を目標に電力需要を全て再エネでまかなう区域「REゾーン」の整備をすでに進めている。石狩湾新港地域で、北電の石狩発電所が立地する周辺の60ヘクタール弱に整備する。既に京セラコミュニケーションシステム(KCCS、京都市)が21年にデータセンターの設立を決めているが、これは通常の工業設備とは異なるから一般化はできないように思える。石狩市の試算では約3670世帯分に相当する年1万7,862トンの二酸化炭素(CO2)を17年比で削減でき、雇用創出を含めて5,600万円の経済効果が生まれるというが、絵に描いた餅にならないことを願うばかりだ。

 

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