効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■再エネを岩塩層に保存

海外(Power社)からの情報(530日)だが、三菱日立パワーシステムズMHPS)は、米国ユタ州に巨大な岩塩層を保有しているMagnum Development社と連携して、この岩塩層に再生可能エネルギーによる発電からの電力を保存するプロジェクトを開始するようだ。その規模は常時100万キロワット相当。これについてMHPSのプレスレリースを調べて見たが、そこには提示されていなかったから、MHPSの本社としては時期尚早と思っているのかも知れない。

ユタ州からの支援もあるとのことだが、10億ドルを要するプロジェクトだという。この岩塩層には巨大な空洞があるようで、Magnum Salt Dome(マグナム岩塩洞窟)と言われている。岩塩層の厚さが1マイル(1.6km)、拡がりが3マイル(4.2km)ほどあるのを利用する。ここに天然ガス、空気、水素を高圧にして押し込む方式となる。

既に5つの空洞が液体燃料の保存に利用されているが、MHPSの計画では、他の空洞に再エネ電力で作った水素を高圧にして押し込むことで蓄電する方針のようだ。この水素で600MW60万kW)のコンバインドサイクル発電を行う方式を目指し、さらに、別に規模の大きいSOFC(固体酸化物型燃料電池)とフローバッテリーも設置することで、常時100万キロワットの蓄電・放電をするとのことだ。まだ計画は固まっていないが、まず2025年迄に250MW規模のものを設置し、電力市場と系統容量の動向を見て蓄・発電規模を拡大するようだ。リチウムイオン電池による蓄電と比べて、コストは競争に勝てるものであり、リチウムイオン電池は放電時間と寿命が短いのに対して、この岩塩層方式では、同量を長時間放電でき、寿命は長い。

問題は分子が小さい水素を岩塩層に保存するには、リークしないようにする必要があるが、空洞壁に樹脂膜を貼り付けることで解決できる見通しが立っているとのこと。

この計画が実施されると、米国西部に大きな蓄電能力が生まれることになると期待されている。MHPSがいつ発表するかが知りたいものだ。