効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■開発進まぬ日本の地熱

 これは日経が報じた記事の標題だが、世界でも有数の潜在力がある日本の地熱発電の開発が進まない。日本の潜在的な地熱の資源量は約2347万キロワットで、米国(3000万キロワット)とインドネシア(2779万キロワット)に次ぐ世界3位。だが実際に利用されている資源は約2%にとどまり、政府が掲げる2030年の目標の達成は不可能な情勢だ。地熱は実際に採掘しないと資源量が分からず、成功率は3割程度とされる。環境影響評価(アセスメント)に3~4年かかるケースも多く、事業見通しも立てにくい。

 これには、どこをとっても地下構造を具体的に知ることが難しいということが大きく影響している。いま静岡県で、リニア新幹線の建設で、トンネル工事の実施が行き詰まっているが、トンネルで水脈が壊れて、大井川の水量が減る可能性が高いという理由で静岡県が反対しているからだ。漏れた水は川に戻すという主張にも疑問を呈している。少し前に書いたことだが、新阪奈道路の建設で水脈が途切れ、生駒にある神社が使っていた湧水が出なくなり、水道の水を禊ぎの水に使わざるを得なくなったのと同じことだ。水脈の位置を正確に知ることは極めて難しい。これと同じで地下にある熱があることは分かっても、熱の量が分からないし、それが温泉に使われていれば、それへの影響も判断しにくい、というよりも、判断できないから、社会的な不安もなくならない。

 昨年、秋田県湯沢市の山葵沢(わさびざわ)地熱発電所、4万6199キロワット、が開設されたが23年ぶりだというから、僥倖だといっても良いくらいのものだろう。これまでの地熱発電所の実績では、発電能力に対する実際の発電量を示す設備利用率は83%と、陸上の風力発電や大規模太陽光発電所よりも高い。18年度末で約52万キロワットの発電容量があるようだが、どれだけ増やせるかを見透せないのが現実だろう。その資金を洋上風力発電に向ける方が効果的かもしれない。風力発電の設備利用率は地熱発電より遙かに低い50%ほどだが、適地さえあれば設置に難しさはなくなっている。地熱発電は理想的な再エネだが、現実離れした理想なのが残念ではある。

 

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