効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

地熱発電

今日の日経新聞一面トップに、地熱発電所20年ぶり新設というヘッドラインで報じられている。20年ぶりというのには改めて驚かされた。地熱発電はまだ新エネルギーとして認められていない。しかし、NEDOは平成20年度に「地熱発電開発費補助事業」を公募している。どこか矛盾した施策であるが、前に地熱発電事業に従事している人が、再生可能エネルギーであることが明らかなのに新エネルギーとしての促進策が準備されないのを嘆いておられたのを思い出す。
まだ新エネルギーとしての位置づけがなされていないにもかかわらず、三菱マテリアルとJパワーが2009年度から事業化に乗り出し、約400億円を投じて秋田県湯沢市に出力6万キロワットの発電設備を建設する。2016年稼働の予定。日鉄鉱業九州電力も鹿児島県霧島市の既存3万キロワットに3万キロワットを追加して15年ころに稼働させるとのこと。同じ所に6万キロワットの新設も検討中で、周辺の地質調査を同時に進めると報じられている。
政府も今春に地熱発電支援策をまとめる方針とされるが、新エネルギーとしての位置づけを与えるのだろうか。記事によると、火山国である日本は地熱資源に恵まれ、資源量としてはインドネシア、米国に次いで資源量が大きい。実際の発電量は現在、新エネルギーである風力の約2倍、太陽光の約3倍あるとはいえ、発電への利用は必ずしも進展していない。稼働中の地熱発電所は東北や九州など全国18カ所(自家用を含む)だけで、出力合計は50万キロワット強、国内発電能力の0.2%ほど。
発電出力換算で2000万キロワットを超える未利用資源を全て活用した場合には、原子力発電所15基分に相当するとの試算もあるが、利用可能な資源が国立公園などにあったりして開発に制限があったり、温泉地で泉源がかれるなどの影響をおそれて反対するなど、どれだけの開発ができるかは不明だといえる。また、熱だけの利用だが、熱水と共に地下にある鉱物質が地上に出て環境汚染を起こす可能性もあるために、予め慎重な調査と評価が必要になる。今回もこのあたりの問題がクリアーされたのだろうが、地球温暖化問題の認識が進んで、地元の協力も得やすくなったのかもしれない。
CO2を出さない自然エネルギーだが、風力や太陽のエネルギーよりも付随する課題は大きいかもしれない。しかし、事業化が決定したことは嬉しいことだ。建設期間が6年くらいと短いのも温暖化対応の施策としても迅速な結果をだせるのも政府としての実績を出せるのだから、早く新エネルギーとしての位置づけを与えてほしいものだ。