効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■炭坑のリフトを利用した蓄電設備

 オーストラリアの大学で建築デザインを教えている長男が教えてくれたのだが、炭坑で使われているリフトを利用して、蓄電設備を作るという方式を考案したベンチャーがある。Gravicityという英国のベンチャーだが、炭坑で採掘した石炭を運び出したり、資材を搬入する通路に使われている垂直に作られているリフトを利用した蓄電装置を考案した。上から重りをぶら下げて、その吊り下げ用のワイヤーに発電機と電気モーターを取り付け、それを送電系統に接続する。多分発電機とモーターは一体化しているだろう。そして、発電量が天候に左右されて変動する太陽光や風力発電からの電力を利用して重りを上げ下げ出来るようにする。発電量が急増して系統が不安定になった時には、モーターを使って重りをつり上げる動作をして電力を消費して増加を吸収する。ついで、再エネからの電力が急減したときには、重りを下げるようにしてワイヤーで発電機を回して発電し、その電力を系統に流すことによって系統の安定性を維持するというものだ。昨年4月10日にここで書いたEnergy Vault社が重いコンクリートの塊をつり上げて塔を作る方式と同じ位置エネルギーを利用した蓄電装置だ。

 このアイデアを使って炭坑に蓄電装置を作る資金がこのベンチャーにはなかったために、クラウドファンディングで246,000ポンドの寄付をつのると、30日で集めるつもりだったこの目標額が1日で達成できたということだ。英国は石炭産業が盛んだったが、いまは斜陽産業で廃坑になっているところが多い。そこで使われている縦穴を利用するのだから、穴を作るコストは不要となる。あとは重りとロープにつながった発電機・モーターの設置をすれば、かなりの容量の蓄電装置ができることになる。設計寿命は50年。1MWから20MWまでの蓄電・発電規模を想定している。反応速度はゼロからフルパワーまで1秒以内。コストはリチュームイオン電池より遙かに小さい。ということだ。

 今九州で太陽光発電が増加したために、電力需要が小さい休日が快晴になると、発電量が急増して余ってしまい、太陽光発電設備を休止させる状況が頻発するようになっている。また、風況の良い北海道では、系統容量や北本連系線の容量が小さいために、風力発電の系統接続が抑制されている。これを解決する方策としてこれが利用できないだろうか。というのは、九州と北海道には廃坑になった炭坑が幾つもまだ残っているはずだからだ。それを有効利用できれば、日本の再エネ促進に大きく貢献できることになる。

このベンチャーのウエブサイトは https://www.gravitricity.com/

パテントもとっているようだが、日本への導入が考えられないだろうか。

 

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