効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■膜を使ってCO2を分離回収する技術

 先ほど自宅に届いた日経新聞の夕刊を見て、これは、という記事を目にした。それは、炭酸ガス(CO2)を膜を使って分離する技術を神戸大学が開発し、2020年にも実用化するというものだ。これを電子版で読もうと思ってアクセスしたところ、この記事は掲載されていなかった。電子版の方が新しいと思うが、この記事が消えているのは、この情報に誤りでもあったのだろうか。そう思って神戸大学の情報を検索してみたら、「高速且つ高選択的なCO2透過膜を創製し、CO2分離回収技術の実現を目指す」という標題で発表されている。

 これまでCO2の回収分離(Carbon Capture)して何らかの形で固定し、再利用するか埋設すれば、地球温暖化の抑制に貢献するということを見たり聞いたりするたびに、その設備と運転コストが膨大になるから実用化は無理だろうと思っていた。だが、神戸大学の発表では、CO2を高速且つ選択的に透過するCO2選択透過膜を創製し、そのモジュール化およびCO2分離プロセスの開発を目指しているとしていたが、神戸大と開発で連携する環境ベンチャールネッサンスエナジー・リサーチが9月、牧場のバイオガス発電向けに装置の納入に合意したと記事に紹介されているから、規模は大きくないかも知れないが、膜を使った分離技術が一応の完成をしたのだろう。

 この技術は、CO2だけに反応する成分を含んだゲル状の膜を用いる。神戸大の説明では、「CO2分離膜の材料にはイオン液体を含有するゲル状物質を用いる。イオン液体は分子構造の設計によりCO2の吸収性や粘度を制御可能であり、また、揮発しないため、CO2分離膜のための材料として大きな可能性を有している。一方、イオン液体を固体状の膜に成形するために、イオン液体中に高分子やシリカ粒子から形成されるダブルネットワーク構造を構築し、イオン液体を含有するゲル膜とする。その特殊なダブルネットワークはゲルの機械的強度を飛躍的に向上し、イオン液体含有量の増大や超薄膜化を可能とする。」としているが、記事で説明されているのは、混合ガスを膜に当てると、ガス中のCO2が成分と一旦結びついて膜を形成し、膜の反対側で成分と離れて放出されるが、水素やメタンなど他の気体は成分と結びつかず通過しない。そして、CO2の放出に必要なエネルギーはCO2が膜分の成分と結びつく際に生じるエネルギーで賄われるために、分離装置の消費エネルギーを既存技術の数分の一に下げられ、装置も小型かされる、ということだ。

 これまでのCO2回収には液体のアミンや粉体のゼオライトにCO2を吸収させるようだが、消費エネルギーが大きい、発電した電力の大きな部分を消費することになり、実際に供給される電力が小さくなってしまう。この電力消費が少なくなることを確認できれば、世界に誇れる技術開発に成功したことになる。分離したCO2をどのように固定するかだが、それにもエネルギー消費の少ない手法を使わなければならない。今後の開発が楽しみだ。

 

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