効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■ノーベル化学賞 吉野 彰氏

 スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞を、旭化成の吉野彰名誉フェロー(71)、米テキサス大学のジョン・グッドイナフ教授(97)、米ニューヨーク州立大学のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム卓越教授(77)に授与すると発表した。授賞理由は「リチウムイオン電池の開発」。最初テレビニュースを見たときには、吉野氏だけが賞を貰ったかのような印象を受けたが、実は3人。ウィッティンガム氏がリチウムイオンを使った蓄電池の基本原理を突き止め、これを踏まえて、グッドイナフ氏は英オックスフォード大学在籍時代の1970年代後半にリチウムイオン電池の正極の開発に取り組み、コバルト酸リチウムと呼ぶ材料が優れた特性を備えることを見いだし、80年に発表した。この成果を生かし、リチウムイオン電池の「原型」を作ったのが吉野氏。グッドイナフ氏らが開発した正極の対になる負極として、炭素材料を採用することを考案。正極と負極を隔ててショートするのを防ぐセパレーターなどを含め、電池の基本構造を確立して85年に特許を出願したと日経新聞が紹介している。

 吉野氏が旭化成でこの成果を出したということに感嘆させられた。日本で企業人がノーベル賞を受賞した前例は島津製作所田中耕一氏で、二人目。田中氏の場合には、実験中に何かの手違いで発生した現象の原因を追及して出した結果に対するものだったと聞くが、吉野氏は最初からリチウムイオン電池そのものの改善、商品化を目指してのことだから、気苦労も多かっただろう。テレビのインタビューで、吉野氏の奥様が、自分はサラリーマンと結婚したのだが、という表現をしておられたのも微笑ましい。吉野氏のインタビューも、難しいことは言わず、諦めない研究姿勢を述べたのが印象に残る。旭化成も技術開発に積極的な企業で知られるが、商品開発資金をよく出したものだ。

 リチウムイオン電池が登場する前には、ニッケル水素電池があり、トヨタの電気自動車にも使われていたが、リチウムイオン電池の大幅な性能アップによって、蓄電池そのものが地球規模での貢献をするようになっている。将来、リチウムが他の元素に置き換わる可能性はあるが、蓄電池の利用分野を拡大定着させた実績が消えることはないだろう。

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