効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■ロシアが世界で初めて浮体式原発を極東へ

 ロシアが世界で初めてとなる浮体式の原子力発電設備を完成させ、電力供給能力が不足している極東地域へ移動させたようだ。実際の稼働は、年末に地域の送電系統に接続された後に開始される。船体は21トン、長さ144メーター、幅30メーターの大きさで、自走能力がないために、他の船に牽引されて8月23日にムルマンスクから出発していたものだ。この船に35MW(3万5千kW)の原子炉を二基搭載している。通常の原発の規模は1,000MWだから、砕氷船の推進力を生み出す原発と同程度だとこの記事では報じられている。極東地域に接岸して、その地域にある10万人に電気を供給する他、アラスカのすぐ近くにある石油掘削機を駆動する電力にも充当されるらしい。

 小さいにしろ原子力発電設備だから、発電量を柔軟に変えることは難しいはず。ロシアの都市部に電力を供給する系統とは接続されてはいないが、既に石油や石炭火力発電所が設置されているところにベース電力を供給して化石燃料による発電量を抑制し、この地域からのCO2排出を減少させる目的もあるとされている。だが、ロシアのグリーンピースはこのプロジェクトに反対の意思表明をしているらしい。暴風が襲ったりして事故が起きると、極東を放射能で汚染させる可能性があるとの主張だ。そして、これをニュークリア・タイタニック、あるいは、氷上のチェルノビルと表現している。極東のことだから、日本との距離も近いだけに、その操業状態を常に監視していなければなるまい。