効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■欧米の陸上風力発電の余力膨大

 ヨーロッパの陸上風力拡大の可能性は、現在の100倍はあり、全量が開発されると2050年迄世界に電力を供給できるほどになるという。これは英国サセックス大学とデンマークオーフス大学の研究成果。この研究結果によると、ヨーロッパ大陸の陸上風力発電の設置がフルに進展すると、52.5TWに達し、2050年に世界が必要とする発電設備規模になる。また、ヨーロッパ市民16人に1MWが割り当てられる勘定になるという計算とも述べている。両大学の調査では欧州の陸上の46%が風況も良く、平地であり、風力発電に適している。500万平方キロの陸地に1,100万基の風力発電を建設すればこの結果が出るとしている。中でも、トルコ、ロシア、ノルウェー風力発電の開発余地が非常に大きいが、大陸西部も風況の良いところが多いために、開発余地が大きいようだ。いま洋上風力発電に業界は向かっているようだが、まだ陸上に適地が手つかずで残っていることが分かったという結論だ。

 一方米国のDOE(エネルギー省)が出したレポートでは、、風力発電のコストが急激に下がっているために、米国の陸上風力発電の設置がこれまでにない増加をしているとしている。昨年の設置規模は7,588MWで、大型陸上風力発電の総設置規模は96GWに達し、雇用量も114,000人になったとしている。この設置規模の拡大は今後も継続されると予想されていて、米国のエネルギーに占める再エネ比率拡大に大きな貢献をするとしている。州別に見ると、テキサス州が25GWとトップの位置を占め、カリフォルニア、アイオワ、カンサス、オクラホマ州が、それぞれ5GWを上回る設置規模を持っている。風力発電からの電力は、米国の総電力消費の6.5%を占め、14州では10%を超えるに至っている。アイオワ、カンサス、オクラホマ州では30%以上というから物凄い。技術進歩で大型化(一基2GWで、2003年の倍)も進み、各州の促進策も有効に機能して、発電コストも急速に下がっている。最近では補助策のない州も増えているようだ。さらに最近では小型の風力発電の普及も進展している。

 国土の大きさが違い、平地が少ないとはいえ、日本の設置量は2017年度末で僅か350万kW。2018年7月、日本のエネルギー政策に関する中長期的な基本方針「第5次エネルギー基本計画」が閣議決定されたが、その冒頭に再エネはコストが高いという記述があることから分かるように、再エネを重視するふりをしながら、石炭火力や原発の推進をしている日本は、世界の動きに3周遅れになっているような気がする。