効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■再エネの系統接続を巡る訴訟

秋田県再生可能エネルギー事業者が6月、東北電力に対して、大規模太陽光発電(メガソーラー)を送電線につなぐ際の負担金の返還を求めて訴えを起こしたと報じられている。このような訴訟が起きないのが不思議だと思っていたが、この内容は東北電力に限らず、旧電力事業全てに起こりうることだ。太陽光などの再エネ事業者は発電した電気を電力会社の送電線を通じて家庭などに届ける。送電線に接続する費用や容量を確保するための増強費は事業者も負担する(負担割合などが不透明)が、高額となり接続を断念する事業者もいる。事業者側弁護団は「北海道や九州でも同様の訴訟を考えていた事業者はいるが、訴訟の費用対効果を考えて訴えを起こす事業者はいなかった」と話しているようだ。電力各社は送電線に余裕がなく、拡大する再エネ設備の接続には費用と時間がかかると主張しているが、これだけとれば正当のようだが、系統の混雑度を知るのは電力会社だけだから、それに反論する余地は再エネ事業者にはない。

事業者側弁護団によると、電力会社への再エネの接続を巡る訴訟は全国初ということだ。弁護団は事業者名やメガソーラーの設置場所などを非公開とし、電力各社などがつくる電力広域的運営推進機関に仲裁は求めず、司法判断を仰いでいる。電力広域的運営推進機関も電力会社と同じ穴の狢(むじな)と見ているのだろう。訴状によると、事業者は2014年9月、出力約1000キロワットのメガソーラーの送電線への接続を東北電へ申し込んだ。東北電は15年1月に架線工事費など約2700万円の負担金を示したが、11月になって先に接続を申し込んでいた事業者との関係で空き容量が足りなくなったとし、負担金を約1億2500万円に増額してきたという。事業者は太陽光パネルの購入や用地確保を進めていたことから、16年11月に増額分を含め負担金を支払った。しかし、最初の提示額との差額約9800万円の負担を不服とし、その返還を東北電に求めて提訴したのだ。

電力各社は緊急時の安定供給のため容量の50%は使っていない。加えて接続の権利は先着順で決まる。送電線に接続していても停止している場合や、契約済みだが未接続の電源も容量に含まれ、空きが足りない要因とされる。事業者側弁護団は「原発など停止している電源も容量に含まれ、空きがあるのに接続できない状態はおかしい」と訴え、今回の訴訟で送電線の空き容量の算定方法についても争う考えだという。

接続可能量を増やすために系統を増強することは、単に接続量を増やすことだけでなく、その送電系統を使った地域への送電の安定化など、各種のメリットが電力会社には生まれる。それの評価と、既に決まった案件をひっくり返すというのは、契約のあり方も関係するだろうが、長いものに巻かれなかった今回の訴訟がどのように展開するか、今後の再エネ接続に大きな影響を与えるかもしれない。

 

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