効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■東北電力、太陽光発電の出力制御へ

東北電力は、2021年5月にも太陽光発電設備に対する出力制御(出力抑制)に踏み切る可能性が非常に高くなっていることを、昨年12月に経済産業省が開催した有識者会議(新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ)で明らかにしたと報じられている。九州電力の出力制御は、中国電力との連系線の容量が小さいためが主因だと思っていたが、東北電力東京電力管内とは大きな接続容量を持っているはずだ。

経産省は同会議で電力各社の2020年度における最小需要日のエリア需給バランスを公表した。それによると、東北電力の最小需要日(5月5日12時)では、下げ代(火力発電の出力減少余地)は51万kWまで小さくなっている。これに連系線の空き容量を加えても、太陽光の出力増加を受け入れる余力は82万kWしかない。

一方で、東北電力管内ではここ数年、太陽光は年間で80万~90万kWのペースで新規に接続されており、仮に2021年度に同程度の需要が予想された場合、前日に太陽光発電事業者に対して、出力制御の指令が出される可能性が大きい。東北電力管内では、552万kWの太陽光の接続可能量(30日等出力制御枠)に対し、2020年9月時点で620万kWもの太陽光が接続されている。

東北電力では昨年2月に女川原発2号機が原子力規制委員会の安全審査に合格し、11月に宮城県知事が再稼働に同意している。これにより、早ければ安全対策工事の完了する2022年度には再稼働する可能性がある。そうなると、再エネの出力増を吸収する「下げ代」が小さくなり、さらに太陽光に対する出力抑制の必要性が高まる。

ネットゼロの目標に向かって動き出したいま、従来型のこのような施策が許されるのだろうか。福島第一原子力発電所東京電力のものだが、ここに東北電力の系統は接続されている。福島と東京を結ぶ系統容量は大きいはずだから、それとの接続容量を増強させるようにするのが経産省の役割だと思う。自分では系統の増強も行わず、再エネ事業者にだけ負担させるやり方が受け入れられるとは思えない。東京と東北を一体化して系統制御が進展するするように経産省も対応してほしいと思う。

 

 

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