国の天然記念物「奈良の鹿」が沢山歩き回っている奈良公園にはゴミ箱がないということを最近知った。時々訪れる場所だから気づいても良かったはずなのだが、ゴミ箱を探す必要がある事態になったことがないからそれに気づかなかったのだ。なぜかというと、ゴミ箱に捨てられた食べ物やプラスチックごみなどを鹿が食べてしまうと鹿に危害が及ぶからだそうだ。だが、最近増えている海外からの観光客だけでなく、国内からの観光客にとっては、どこでも当然あるはずのゴミ箱がないのだから、手にしたゴミのやり場に困る人も多いはずだ。おそらく困惑するだけでなく、自分のポケットやバッグに入れるような人は少なく、適当に目に付かないところに捨てる人が大半だろう。
このポイ捨てが増えたことで、プラスチック包装の食品を食べて、プラスチックも一緒に飲み込んでしまう鹿が増えていて、死んだ鹿の胃袋の中から塊になったプラ袋が見つかった事例も増えているという。鹿にとっても可哀想なことだが、神鹿として対応してきた奈良の住民にとっても困惑以外の何物でもない。そのような状況から、最近このような被害が増えないような商品の開発がされたというニュースを見た。それはOTOMOと名付けられた、奈良特産の蚊帳生地を使用した軽く、折りたたみも簡単な袋だ。長方形の布を三つ折りにして上下を縫った「あずま袋」の形で、折りたたんで気軽に持ち歩くことができる。見た目も可愛いことから、奈良の土産の一つとして観光客に買って貰うことを期待しているようだ。風呂敷が海外からの観光客にも人気があるそうだから、このような洒落た可愛い風呂敷を、公園を歩く前に買ってもらい、使い方も理解して貰える工夫をすれば、案外人気が出るかも知れない。また、奈良公園にはゴミ箱がないことを、良いイメージとして売り込む工夫も必要かも知れない。
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