効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■米国の石炭火力相次ぐ閉鎖

 米国のトランプ大統領は、地球温暖化などはフェイクニュースだと言わんばかりの姿勢を示しており、石炭産業の支援策を打ち出してきた。この政策を根拠として、米ワイオミング、モンタナ両州にまたがる一大石炭産地パウダーリバー盆地(PRB)は、クリーンエネルギーへの需要シフトの難局をうまく乗り越えるはずだった。だが、この米国最大の産炭地域でさえ、容赦のない終焉(しゅうえん)の危機に直面している。発電所の石炭需要が予想を大きく下回っているためで、同地域でも鉱山会社の倒産が相次いでいる。電力業界の燃料需要は石炭から天然ガスや風力、太陽光といった再生可能エネルギーへと大きくシフトし、米国の全発電量に占める石炭火力の割合は5年前の約40%から25%以下に落ち込むという低落状況にある。

 米エネルギー情報局(EIA)によると、米国の電力会社はここ10年で合計546基を超す石炭火力発電設備の運転停止を発表した。発電能力換算では計1億200万キロワットに達する。米電力会社の19年の石炭消費量は5億3770万ショートトン(約4億9000万トン)で、1年前の予想より7400万ショートトン減る見込み。米政府は19年のエネルギー消費に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を前年比2.2%減と予想しているが、そのほとんどは石炭消費量の減少によるものだ。トランプ政権は6月、石炭火力発電所の操業規制を緩めて石炭産業を支援するルールを導入したが、再生可能エネルギーや電力貯蔵コストが下がる中で、「新ルールの効果は薄く、多くの石炭火力発電所がいずれ閉鎖に追い込まれるだろう」とコンサルティング会社オポチューンのチャーリー・パーマー氏は予測すると報じられている。

 火力発電から排出されるCO2を捕捉する技術開発も進められているが、それを利用する設備のコストが上乗せになるために、発電された電力コストは上がらざるを得ず、再エネと蓄電を組み合わせた、従来なら高コストと言われたものを大きく上回る段階に来ている。石炭を輸入する日本は、エネルギー供給の安定策として石炭依存を継続しているが、パリ協定への対応に向けて、遠からず石炭火力を維持、あるいは、新設することはできなくなるだろう。

 

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