効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■新設建物にガス供給禁止(カリフォルニア州バークレー)

 天然ガスは、石炭や石油に比べて、燃焼時に排出されるCO2の量は格段に少ない。だが、その優位性は、発電量の中に占める再エネの比率が高くなると失われる。電気を使って熱を発生させる方が、CO2の排出量が相対的に少なくなるからだ。これは理屈では分かっていたが、それが実現するのはまだ先の話だと思っていた。だが、昨日入手した情報によると、カリフォルニア州バークレー市(Berkeley)が、この7月23日、新設の建物(一部に例外を認めている)にガス管を接続することを禁止する条例を市議会全員一致で可決した。これは米国で最初(おそらく世界でも)の事例となる。これは同市だけの動きではなく、米国、欧州諸国で最近顕著に見られるもののようだ。カリフォルニア州内でも、2~30の市がこの趣旨に沿った動きを見せている。

 この背景には、カリフォルニア州内の建物からは、州全体の25%の地球温暖化ガスであるCO2を排出されているとする数字がある。同州は2045年にゼロカーボンエネルギーを実現するという目標を掲げているが、その実現には利用時にCO2を排出する天然ガスの使用を排除しなければならない。これまで、電気よりもガスの方が温暖化ガスの排出が少ないと認識されてきたが、これは石炭火力発電が主流であった時代の認識であり、再エネ発電比率が高くなった現在では、天然ガス消費によるCO2排出量の方が多くなっているようだ。そのため、これからは建物のオール電化が必然だとされるようになっている。それに加えて、全米に走る天然ガス供給網からは、送出されるガスの3%が漏洩していると言われ、このばあい、メタンが大気中に放散されることになる。メタンは地球温暖化効果がCO2より遙かに高いために、天然ガスの供給自体が問題となっている。また、ガスを室内で燃やすことについても、室内大気汚染が起き、健康にも障害となることも問題視されている。ただし、発電燃料として使われる石炭の代替として利用される天然ガスについては、当面問題とはならないようだ。

 カリフォルニア州では新規建物は全体の1%に過ぎないために、既築建物のオール電化推進に向けた促進策も推進されようとしている。米国には電力とガスの両方を販売する事業者も多い。このような事業者は電力への切り替えによって事業収益性が高まるとも言われている。だがガスだけを供給しているSouthern California Gasのような事業者にとっては、パイプラインは資産価値を失い、息の根を止められるほどの影響が生まれることになる。日本もいずれはこの方向に向かう可能性があるとはいえ、まだまだ先のことだろうが、ガス事業者はこのような動きの情報をよく分析する必要があるだろう。

 

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