九州電力がこの6月1日に石炭火力(100万キロワット)松浦発電所2号機を新設稼働させると発表している。まず試運転から始め、12月から営業運転に切り替える。高性能の排煙・脱硝装置や電気式集じん機などで酸性雨の原因になる窒素酸化物や硫黄酸化物の排出を抑制できるのが特徴だという。高温・高圧下で石炭を燃やす「超々臨界圧微粉炭火力」のため、発電効率も1号機に比べて高い。発電効率が高く燃料費の低減につながるため、九電の2020年3月期の連結業績で営業利益を約70億円押し上げる効果があるとのことだが、いくら最新技術で効率が高いといっても、天然ガス火力よりもCO2排出量は多いはずだ。地球環境への配慮よりも利益を優先したと言うことだ。
石炭火力発電は、出力を他の火力発電ほど柔軟に出力を下げることができない。ということは、いまいろいろ言われている、快晴の日に太陽光発電からの出力が大きくなりすぎて、全体の発電量が需要量を上回るため、太陽光発電の出力を抑制する比率が高くなるということになる。石炭火力は夕刻からの需要量の増大に備えて、出力は下げるとはいえ維持するから、その分だけ太陽光発電の出力抑制量は多くなる。原発はこの時でもフル稼働をするのだが、原発からCO2の排出はないから温暖化の側面では問題とはならない。ただ九電全体の発電量に占めるグリーン電力の比率が下がるということだ。石炭火力発電からの排ガス中のCO2を捕捉して固定化する技術はまだ開発途上だし、たとえそれを使うとしても発電コストは大幅に高くなる。
できたものは仕方がないが、これが最後にしてほしい気持ちだ。