効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽光・風力発電の出力抑制

九州電力は11日、九州7県の太陽光や風力発電再生可能エネルギー事業者に一時的な稼働停止を13、14両日に求める可能性があると発表した。電力は需要と供給が同じ量でなければ周波数が乱れ、最悪の場合、発電機が自動停止して大規模な停電が起きる。これは先月北海道の地震で起きた発電所の停止が引き金になって、北海道全域が停電したケースと逆のように見えるが同じことだ。九州電力の場合には、太陽光発電の設置量が大きいために、今回は太陽光発電の出力抑制になるだろう。13日、14日は工場などが休みで止まっているので全体の電力需要が下がるのに加えて、涼しくなったために、冷房用の電力需要もなくなっているからだ。また原子力発電が再稼働したために、ベース電力が増加し、その分太陽光発電からの電力を上乗せすると、需要より多く発電することになるからだ。電力会社は、晴天で太陽光の発電量が多くなりすぎた場合、あらかじめ決められた国のルールに従って一時的な稼働停止を求める「出力制御」ができる。これまで離島(本土の系統とは繋がっていない)で実施したことはある。今回対象となる契約件数は太陽光発電で約2万4000件、風力発電で約60件。住宅の太陽光発電にあたる出力10キロワット未満のものは除外し、総出力は約480万キロワットに上る。九電は天候や需要予測などからこのうち一部を抑制する。抑制すると言うことは発電事業者から見れば、事業収入の減少になるから、利益を圧迫する。頻繁に起きると事業が維持できなくなる可能性もないではない。
ここで問題は、抑制の前に、電力を中国電力や、そこを経て関西電力などに送る量をどの程度増やすようにする予定にしているのか、出力を簡単に変動しにくい原発や石炭火力を、予め絞っておくという方策をとるのかどうか(国の方針で原発の稼働を優先するようだ)、九州電力管内の例えば冷凍倉庫などに、太陽光のピーク時間帯に温度を下げる設定にして電力消費を増やすのを依頼する(協力への報酬を払う必要はある)かどうかだ。そのような他電力への送電量や、他の発電設備の出力を抑制する、あるいは一時的に電力需要を増やす方策などを公開して欲しい。太陽光・風力発電の出力変動によって周波数が大きく変動しないようにするのは、発電出力を増減しやすい石油火力やガス火力、揚水発電の役割になる。九州電力にとっては発電コストが安いとされる原発や石炭火力の出力抑制するのは、発電コストが上がることになるから避けようとするだろう。しかし、それを九州電力だけの裁量に任せるのは、再エネを増やそうとする政府の方針からみておかしい。出力抑制が実際に行われた時には、事後的にも検証する必要があるだろう。