石炭から直接、天然ガスの主な成分であるメタンを作り出す菌を発見したと、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の研究チームが米科学誌サイエンス電子版に発表したと報じられている。昨日書いたバイオミミクリーではなく、バイオを利用してのもののようだ。これまで酢酸やメタノールを原料にメタンを作る菌は知られていたが、石炭から生成できる菌は初めてだという。新たな資源として注目される地下石炭層に含まれる天然ガス「コールベッドメタン」の生成にも同様の働きを持つ菌が重要な役割を担っている可能性があるとのことだ。この菌を大量に増やすことが出来れば、火力発電所に石炭を使わずに済ませるようになるかも知れない。この菌に利用が事業性のあるものに育つかどうかは分からないが、石炭が次第に発電燃料としては忌避されるようになっているいま、資源量としては多い石炭の新しい利用方法が開発できるかも知れない。
これとは少し領域が違うが、米国のアルゴンヌ研究所が、炭酸ガスを直接エタノールに変換することができる触媒を偶然見つけたという情報もある。炭素と銅でできた極めて小さな分子レベルのもので出来ている触媒だ。これが実用化されるとすれば、今年の5月7日に書いた、溶融炭酸塩燃料電池でCO2を濃縮する方式が開発途上にあるから、これと組み合わせると石炭火力発電からのCO2排出について、さらには、天然ガス火力発電からのそれについても、地球温暖化効果を大きく抑制することが出来るかも知れない。