効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■三浦工業の4.2kWSOFC

 大手ボイラーメーカー三浦工業は、この10月から4.2kWのSOFC(固体酸化物燃料電池)のニューモデルを投入するが、その後5年での販売数1,000台という意欲的な目標を掲げていると日経新聞の四国版が報じている。2017年から最初のモデルが販売されているが、少なくとも、国の補助金を貰うリストに上がったことはなかったから、実販売数はゼロだったようだ。それが1,000台という目標になるというのは、これまで国産のセラミック製セルスタックを使っていたのを、英国のCeres Power社のセルスタックを輸入して、周辺のシステムは自社で組み上げることによって、信頼性を上げ、コストを大きく下げることができたからだようだ。その輸入するセルスタックは、鉄を素材とする網状の基板に反応する粒子を付着させた形のもので、Steel Cellと名付けられている。電力や廃熱の有効活用が可能になる同製品の導入で、年間80万円程度の光熱費削減が見込めるとしている。発電時の廃熱を利用してお湯を供給する仕様になっている。使用環境にもよるが、導入施設は光熱費2割の削減効果が期待できる。

 セルスタックはセ氏1000度程度までの温度変化にさらされるため、一般的に用いられるセラミック板なら1年ごとの交換が目安だが、金属板なら10年間は交換不要だという。競合するものは京セラ製のセラミック製スタックを持つSOFC 3kWだが、これはこの2年間で30基ほどファミリーレストランなどに取り付けられている。京セラのものの価格は分からないが、三浦工業のものは、現時点で販売価格は1000万円超を想定する。ただ経済産業省や各自治体が補助金制度を設けており、導入施設は数年で投資費用を回収できるとしている。三浦工業はガス会社との連携のほか、主力製品のボイラーで築いた販売網を活用し営業を展開する。新製品には災害時などに停電しても発電が続けられる自律運転機能も標準搭載する予定。事業継続計画(BCP)対策としても提案する。

 来年に入ってからの販売実績がどのように推移するか楽しみではある。京セラがどのように対抗するだろうか。