効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■トヨタのEVシフト

 トヨタ自動車燃料電池自動車に特化してきたが、世界の動向を見て、電気自動車(EV)にシフトし、両面作戦に向かっているようだ。同社は19日、電気自動車(EV)で中国最大手の比亜迪(BYD)とEVの共同開発で合意し、。2020年代前半に中国でトヨタブランド車を発売する。電池の開発も共同で進めるとも発表している。トヨタは出遅れたEVで他社との提携戦略を進めて巻き返しを図る。中国などで進む自動車への環境規制に対応し、エコカー市場で存在感を高める狙いだ。中国政府はエコカーに限り現地生産の規制を緩和しており、BYDとの合弁生産に踏み切る可能性もある。BYDは電池メーカーとして創業し、EVに参入した。18年には電動車を約25万台販売した実績を持つ。

 中国政府はハイブリッド車を優遇対象とする検討を始めているが、自動車メーカーは一定台数のEVを生産することを求められる。これまで自社ブランドのEVを持っていなかったトヨタはEVの強化で欧米勢と比べ販売力で劣る中国市場での巻き返しも狙っている。中国でも燃料電池自動車(FCEV)の開発は行われているが、水素は、その調達と充填設備がネックとなって、普及の速度がEVに大きく水をあけられている。米国ではトランプ政権が中国からの輸入だけでなく、日本からの自動車輸入にも関税をかける可能性もあり、トヨタの販売台数が落ち込むことも考えられる。そこで、中国と直接手を結ぼうとしているのだろうが、これにもトランプが待ったをかけないとも限らない。リスク回避には難しさもあるが、中国市場の大きさとこれからの伸びを考えると、トヨタとしてもそのリスクを負ってでも事業の拡大を目指しているのだろう。

 EVはCO2を排出しない自動車という機能だけでなく、蓄電システムとして系統の安定化にも貢献し、ある程度の集積が進むと、送配電機能の一部に組み込まれ、中国が力を入れている風力、太陽光発電の電力の消費と変動抑制に大きな力を発揮する。中国だけでなく、インドを始めとするアジア諸国でも、これからEVの普及が政策的に行われることは確かなだけに、欧州の自動車メーカーも市場確保に動いている。トヨタとすれば、プレイヤーとしての地位を確保するためにも、事業拠点を中国に持つことにはこれからも積極的に行動するだろう。