効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■関電がネガワット取引システムを開発

 関西電力は猛暑などで電力消費が急増した際に、工場などに使用電力の削減を求める節電取引(ネガワット取引)の状況をリアルタイムで確認できるシステムを導入した。ネガワット取引は工場など大口の電力需要家に節電してもらう代わりに料金を実質的に割り引く契約。日本では17年度に導入され、節電の新手法として注目されている。従来は実際に電力会社が節電を要請する場合、メールや電話で契約先の工場などと連絡した上で節電していたが、翌日まで節電の状況や割引額が確認できない難点があった。

 関電が開発した新システム「K-VIPs」は契約先の工場と常時、通信回線を通じて接続。工場側は1分ごとに節電などの状況を確認できる。電力代の割引額なども容易に把握できるため節電の実効性が高まることになる。工場などに設置する通信機器や通信費も関電が負担するが、このほぼリアルタイムデータは、この取引に参画する企業にとっても貴重なものとなる。これを大口ユーザー向けの新しいサービスとして販売することもできるだろう。関電は猛暑となった18年7月にネガワット取引を初めて発動した。18年度に確保していたネガワット枠は27万キロワット。管内の総需要量の1%程度にすぎなかったが19年度のネガワット枠を96万5千キロワットと3.6倍に拡大させている。新システムは電気自動車(EV)の蓄電池などの分散電源を使って需給調整する「仮想発電所(VPP、バーチャル・パワー・プラント)」の技術確立にも役立つため、関電は関連ノウハウを蓄積していくという。

 関電の域内では変動性の再エネ導入量はまだ比率として少ないが、いずれこの変動を抑制するために需要を抑制したり増強したりする制御をする必要性が高まるだろう。今回開発され運用が始まるシステムは、この目的にも応用できるはずだ。欧米では既に確立されているDSM (Demand Side Management)が早期に開発され、全ての電力事業が利用できるようになれば良いのだが。

 

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