鉄道総合技術研究所は、東京都交通局、東京メトロと協力し、電気抵抗がゼロの超電導ケーブルを使った鉄道への送電で、安全性の確認と大きな電流を流す実証試験に成功したと報じられている。2013年3月23日の日記で書いたように、この頃から始まった鉄道への超電導ケーブルの利用試験が、実際の現場で使えることが実証されたようだ。トラブルを想定して送電システムの超電導部分を意図的に切り離しても、電流は並行につながった電線を通り、試験車両は問題なく走行できたという説明がよく分からない。試験設備だから通常の並行電線があるということなら分かるが、実用化するときにも並行電線が必要なのだろうか。
これまでに何回か書いているが、これには液体窒素で超電導用電線をマイナス160度ほどに冷やすと電線の抵抗がゼロになるのだが、この冷却に必要な電力を計算に入れても、送電効率が高く出来たのだろう。
東京都内を走る直流電圧600ボルトの都電荒川線と地下鉄丸ノ内線で超電導の送電システムを組み込み、安全性などを確かめた。ブレーキの際に生じる回生電流を車両基地内の他の車両に送電することにも成功した。鉄道総研はこれまで様々な送電試験を重ねており、技術的には実用化の段階に達しつつあるという。超電導送電システムを導入すれば、電力供給のための変電所を増設せずに必要な運行本数を確保できるようになるという記述が最初理解できなかったが、以前の日記を参照すると、変電所同士を超電導ケーブルで結ぶことによって、電力の融通が送電損失を出さずにできるために、新たな変電所を設置せずに送電容量を確保できると言うことらしい。
この記事とは別に、海外の研究所で、室温での超電導が可能になるかも知れないという報道もあったのだが、それが実用化されれば、低温維持のための電力消費が大きく下がるために、送電効率は大きくあがることになる。送電に超電導が実用化される時代に入ったというのは嬉しいことだ。