効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■急増する中国の蓄電設備容量

 調査会社Wood Mackenzieの予測によれば、中国の蓄電(蓄電池だけではない)設備規模が、2024年までにアジア・太平洋地域で最大になるようだ。2017年時点で中国が保有する蓄電設備は、489MW,あるいは、843MWhだが、2024年には、12.5GW、あるいは、32.1GWhになると予測している。これは設置規模で25倍になることを意味する。2018年に政府の促進策が導入されたようで、2018年の年間設置量は2017年の5倍。これは、系統への設置量であって、電気メーターの需要側に設置された蓄電設備は含まれていない。国営の送電事業者が452MWhを系統に設置したが、この規模は世界の設置規模の83%となるとのことだ。これには政府の支援策が大きく貢献している。支援がなければこの送電事業者も増設には踏み切れなかったという。

 その支援とは、一定価格で取引されていた系統制御のアンシラリーサービスが、来年からスポット市場での取引に変わることだ。それに加えて、蓄電技術が成熟し、コストが下がってきたことも貢献している。再エネ発電事業者は、今年から発電への補助金がなくなったために、蓄電設備を併設することはしなくなっているが、急増している風力発電太陽光発電に対応するために電力事業が蓄電設備を設置している。

 一方、電気メーターより需要サイドにある商工業設備に設置される蓄電設備(主に蓄電池)も急増しつつあるという。昨年はこれが513MWhで、2017年の2.8倍。主として電気料金を削減するためのようだが、電気料金が変動するため、必ずしも目的を達したものばかりではないという。

 このように急速な蓄電設備の設置は、これまで太陽光発電に見られたように、政府の支援策を背景に、蓄電池を中心とした蓄電設備コストを急速に下げる要因となり、生産量も増えるために国外に輸出されるものも増加するかもしれない。このような状況が日本にとって恩恵となるのか脅威となるのかは、今後の展開を見なければ分からないのが現状だろう。