効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■室温に近い温度で超電導

特定の金属や化合物などの物質を非常に低い温度へ冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象を超電導という。絶対0度になると何でも超電導となるらしいが、それより高い温度で起こるものを高温超電導という。ジョージ・ワシントン大学が発表したものだが、これまでは電線の抵抗がゼロになる超電導はマイナス180度で起こすことができ、特殊な素材を液体窒素(マイナス196度で液化)で冷やすことで実現できたものが、室温に近い温度で超電導になる物質を実現可能になったというものだ。実験室レベルでこの物質を作ることが出来たということで、これを線材にすることができるというわけではないが、将来そのような物質で電線を作ることができるとすれば、そこを流れる電気をほとんど損失なく消費されるところまで送ることができる。

これが商品として利用できるようになれば、電気エネルギーの消費効率は急上昇することになる。これまでの高温超電導の場合、液体窒素を作るのにも電力が必要だから、それを上回る電力消費の抑制が出来るところにしか利用できなかった。だが、もし室温近くで超電導の電線が入手できるとすると、例えば太陽の光が当たって温まっている電線は損失なしに電気を送ることができる。現在送電損失は5%ほどだと言われるが、これを下げるために送電電圧をできるだけ高くする努力が続けられている。これを一部でもゼロに出来れば、大きく損失を少なくできるし、家電などでも内部の温度が室温レベルであれば、使われる電気は目的実現のためにだけ消費され、熱として失われる部分が殆どなくなることになる。

今回試作された物質は、水素比率の高い金属を高圧化で処理して作れたそうだ。実験室レベルではあるが、室温に近い温度で超電導が起きる物質の存在が証明されたということは、これからの電力市場にも大きな影響を与えるものとなるかも知れない。まだ夢に近い話ではあろうが。