効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■北海道に蓄電池併用の風力発電

北海道電力の送電系統の容量が小さい地域が多いために、「風力発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」を満たさなければ規模の大きい風力発電の設置ができない。この技術要件を満たした第一号が4月に稼働を始めている。東急不動産日本風力開発が、北海道松前町に建設した「リエネ松前風力発電所」で、発電容量は40,800kW、蓄電池容量は18,000kW。この発電設備はスペインのシーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジー(SGRE)社製の風車(定格出力3,400kW)12基を採用したものだ。タワーの高さは94m、ブレードを含めた全高は148mとなり、2019年4月時点で運転している風車としては日本最大となる。蓄電池は日本ガイシNAS電池。リチウムイオン蓄電池とは違って高温で作動する。

北海道電力では、太陽光発電(出力2,000kW以上)・風力発電設備(出力20kW以上)に対して、その出力変動が周波数の維持に影響し、系統利用者に影響を及ぼす可能性があるため、発電所側で蓄電池などを設置し、周波数調整に影響のないレベルまで出力変動を緩和することを求めている。太陽光発電より風力発電の方が規模の小さい。これは多分、風は電力需要の少ない夜にも吹くことが多いからだろう。この設備基準はどうも一方的に太陽や風力発電の事業者に適用されているようで、それに対応して北海道電力がこのような接続に向けた系統整備をする必要はないようだ。これは欧米などでは系統管理者に受け入れのための系統整備が義務づけられているし、世界的に見て特異なものだ。

今後北海道や東北電力、あるいは九州電力管内に不規則変動する再エネ発電をさらに受け入れるためには、時間はかかるが、送電系統の直流化を推進する必要があるだろう。直交変換は世界中で行われている。直流送電設備を送配電事業者が建設しやすくする、あるいは、建設を義務づける制度設計を導入することは出来ないだろうか。