効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■丸紅がUAEで大規模ソーラー発電

 昨日丸紅が発表したところによると、アラブ首長国連邦UAE)で世界最大級の太陽光発電所を稼働させたとのこと。出力は117万キロワットで、300万枚の太陽光パネルを使い、東京ドーム170個相当の面積で発電する。砂漠地帯は広大な土地が安く手に入り、日射量も多い。化石燃料が豊富な中東でも太陽光という新たな資源の活用が始まる。

 UAEアブダビ首長国で運転を始めたのは「スワイハン太陽光発電所」。総事業費は約1千億円とみられる。残念ながら日本のパネルではない。コスト面で対抗できなかったのだろう。今回の事業では丸紅は全体の20%を出資し、日系のメガバンクなど計8行の銀行による融資を取り付けるなど開発を統括した。そのほかは、太陽光パネル最大手メーカーの中国ジンコ・ソーラーが20%と現地の国営大手電力会社が60%を出資した。ジンコ製の太陽光パネルを使い、同社が技術面を支援している。

 UAEなど中東の産油国は、これから太陽光発電風力発電で電力を確保する方向に向かう。これまで発電に使っていた石油、天然ガスを輸出に回す方針を取り始めている。だが、今回のような規模のものが稼働すると、UAEの送電系統の制御に少なからぬ影響を与えるだろう。ただ、砂漠は晴天が続くから天候予測は容易だろうが、それでも曇りの時もあるはず。その時に円滑に対応できるかが、このようなプロジェクトが増えると課題になると思う。

 さらには、この電力を使って水電解で水素を作り、それを資源として海外に輸出することも構想されているようだ。世界的に水素燃料電池をこのような再エネ電力で発電した電力で駆動する計画が増加するようだから、中東諸国にとっては新たなエネルギーの輸出事業が生まれることになる。

 数年前まで、このような再エネ発電からの電力を欧州へ地中海を横断する海底電線で送るプロジェクトがあったが、結局実現しなかった。それが今回のような形に変わったとはいえ、中東諸国が世界にエネルギーを供給する力を大きくする方向に今後向かうと想定される。