効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

水素と再エネ

北海道には風力発電に適した風が吹く。風は夜でも吹くから、それをうまく制御できれば、風力発電の設置規模をさらに拡大できるはずだ。しかし、北海道と本州を結ぶ北本連系線の容量が60万キロワットしかない(2018年には90万キロワットになる計画が進行中)ために、風力発電の設置が増えて夜に風が強く吹くと、需要より多い発電をすることになったときに、設備を停めなくてはならないことが頻発し、折角の再エネ電力を失うことになる。余剰の電力をどこかに貯めることができれば良いのだが、技術面、コスト面での課題が多かった。だが、余剰電力で水を電気分解して水素を作り、これで燃料電池や水素エンジンで発電できれば、需要が高くなったときに発電して変動を制御できることになる。このプロジェクトが北海道でも開始されるようだ。
日立製作所北海道電力、エネルギー総合工学研究所は2日、北海道稚内市において、水素を活用して再生可能エネルギーの出力変動や、余剰電力を吸収・制御するシステムの事業可能性調査を実施すると発表した。この調査結果は2017年9月までにまとめられる予定だという。北海道電力にとっては、泊原発の稼働が再開され、そこに風力発電が増強されれば、需給バランスをとるのは非常に難しくなる。だからこそ、このプロジェクトに参加したのだろう。このプロジェクトでは、電力を一旦水素に変換して貯蔵し、水素を燃焼させて発電するシステムの協調制御手法を開発し、風力発電などの再生可能エネルギーの導入が進んでいる北海道稚内市において、事業可能性調査を実施する。このシステムは、蓄電池、水素を発生させる水電解装置、水素を貯蔵するタンク、水素と軽油を燃料とした水素混焼エンジンで構成されるらしい。燃料電池は使われないようだが、規模の大きなものが国内でも開発されつつあるから、いずれこれが組み込まれるだろう。これらの装置を独自のアルゴリズムを用いて協調制御することにより、出力変動や余剰電力を吸収・制御する。来年の成果発表が待たれるところだ。