20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合が軽井沢で開催されたが、幾つかの合意がなされている。エネルギー分野の共同声明は火力発電で出た二酸化炭素(CO2)の再利用や環境負荷の少ない水素エネルギーでの協力に合意した。水素については生産コストの引き下げに向け、各国で異なる規制が投資を妨げることがないよう基準を統一するなどの連携を進める。水素については、近い将来再生可能エネルギーを使って水電解などで生産されるグリーン水素に期待が持たれるが、この電解技術は別に目新しいものではなく、電解設備のコストダウンが鍵となる。また、再エネを使う場合、限界コストはゼロだから、生産量が増えればコストは下がると考えても良いだろう。
地球温暖化に関係するCO2の排出については、石炭火力からの排出量が多い。欧州各国が石炭火力の中止に動く一方、「(電力インフラが乏しい)発展途上国などは使わざるを得ない」(世耕弘成経済産業相)とのことだが、どうもこれは炭酸ガス回収技術を開発して海外に輸出しようとする日本の思惑が強いように思える。
省エネルギーの項目では電気自動車(EV)の燃費評価で、電力を作る過程で出たCO2排出を含める「ウェル・ツー・ホイール(油井から車輪へ)」についてG20各国が「留意する」との記載が入った。充電に消費される電力が何を使って得られるかによっては、EVの環境評価は変わってくることを確認したと言うことだ。これまでは走行時のエネルギー消費に着目した「タンク・ツー・ホイール(燃料タンクから車輪へ)」が主流だったが、日本が取り入れた環境重視の評価手法について一定の支持が得られたのはかなりの意味がある。
どれに関しても水素が軸になるが、それを利用する燃料電池について、燃料電池駆動の列車について自分が書いた4ぺーじも掲載されている雑誌「工業材料7月号」(日刊工業新聞)が昨日発刊された。まだ自分も入手していないのだが、多方面にわたる水素と燃料電池の利用について多角的に書かれているはずだ。読んでいただければと思っている。
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