効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

トランプ政権、火力発電所規制を撤廃へ

以前から噂されていたことだが、プルイット米環境保護局(EPA)長官は10日、オバマ米大統領が進めた火力発電所規制を撤廃する案を発表した。この主たる目的は、二酸化炭素(CO2)排出量が多い石炭火力発電所の閉鎖を促した規制を撤廃し、化石燃料資源の開発を進めるということだ。オバマ前大統領は石炭を念頭に、火力発電所のCO2排出量を30年までに2005年比で32%削減する規制を2015年に公表した。ただ16年に連邦最高裁が差し止めを命じ、規制は無効となっているため、いま撤廃しても大きな影響はないとみられる。だが、この規制撤廃によって石炭火力発電所が勢いを取り戻すかというと、それは多分難しいだろう。いま天然ガス価格がシェールガスの開発で下がっているため、天然ガス火力の方が発電コストは安くなっている。石炭火力の場合、硫黄分や水銀などの成分が燃焼ガス中にあるのを取り除く設備のコストがかかるために、競争力を失っているし、周辺住民の反対もある。また、米国では風力や太陽光による発電コストも急速に下がっているために、この規制撤廃をするのは、トランプ大統領の単なる姿勢の表明に過ぎないと考えるべきだろう。再生可能エネルギーへの税額控除などの援助措置を中止する考えも明らかにしたようだが、援助の必要がなくなる時代が来ている可能性もある。アマゾンなど有力企業が、再生可能エネルギー100%を目指しているのだから。