効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■IEAが「原発縮小 温暖化のリスク」を報告

国際エネルギー機関(IEA)は5月28日に、原子力発電の後退による中長期の影響をまとめた報告書を公表している。原子力発電所の維持や新設などの手を打たなければ、先進国では2040年までに原発の発電能力が最大で約3分の2減ると予測し、電力需要を他の電力源で賄えば、費用や温暖化ガス排出量の増加につながると分析し、急激な原発縮小のリスクを警告している。

報告書によると、先進国では2018年には原子力が電力供給の18%を担っており、最大の低炭素エネルギーの供給源となっているが、1970~80年代に建設した原発の老朽化が進み、近年は発電に占める割合が下がっている。耐用年数を過ぎた原発廃炉がこれから各国で増えると見通している。今後、風力や太陽光など再生可能エネルギーの発電量は増えるものの「原発への投資がなければ持続可能なエネルギーシステムの実現をさらに難しくする」と強調し、原発の先細りは電力の安定供給の観点からも問題を生じると見ている。

IEAは安全性に最大限配慮した上で運転年数を延長することや、低コスト化が見込まれる「小型モジュール炉(SMR)」と呼ぶ次世代原子炉の開発支援などの政策を提言しているが、この提言にはそれなりの根拠もあり、一概に否定は出来ないものの、使用済み核燃料の処理などについてどのように評価しているかも加えてほしかった。IPCC地球温暖化が最近加速されていると警鐘を鳴らしているのも考慮すべきことで、原発をある程度維持する必要があることは理解している。その一方で、再エネの急増が系統に悪影響を与えないような方策も推進する必要があるだろう。

国際エネルギー機関(IEA)は、3月26日に、世界全体のエネルギー需要が2018年に2.3%増加し、伸び率が過去10年間で最大になったとの調査結果「Global Energy & CO2 Status Report 2018」を発表している。世界のエネルギー需要の抑制策も同時に実施されなくてはなるまい。世界中で増加する電力需要の伸びに電力の供給が追い付かず、石炭の消費も増加している。その結果、18年の温室効果ガス排出量は世界全体で1.7%増加し33ギガトン(Gt)となった。石炭火力発電による排出量は10Gtを超え、全排出量の約3分の1を占めた。

エネルギー需要の増分のうち約20%は冷暖房の需要が高まったことに起因しており、これは一部の地域における冬季や夏季の平均気温が過去の記録以上に低かったり高かったりしたためという。冬季の寒波が暖房需要を活発化させ、夏季の気温上昇が冷房需要を押し上げたとしている。

やはり重要なのはエネルギー消費の効率化をさらに推進することだ。