効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■Eメールなどによる電力消費とカーボンエミッション

IT産業に関わる電力消費について興味あるレポートを見る機会があった。

技術進歩というものが環境問題を解決する方策を提供するということは確かだが、一方ではそれが電力消費を増大させ、結果として地球温暖化ガスの排出を増加させることになるというものだ。例えば、1メガバイトのEメールを一通送るのにどれだけの電力が消費されるだろうか。25Whの消費であって、炭酸ガス20グラムを排出することになるそうだ。Eメールの利用は、時間、距離などの障壁を乗り越えることでエネルギー消費を抑制してはいるが、それ自体がエネルギーを消費し、それが急増すると、化石燃料による発電に依存せざるを得なくなるということだ。ある研究によると、今年は2,930億通のEメールが一日に世界で発信され、それが消費する電力はほとんどが化石燃料由来になるらしい。

スマートフォンのアプリも、蓄電池を急速に消費し、その充電に電力が必要となる。特に、ストリーミングの電力消費は大きいようだ。このようなデータのやりとりを媒介するのはサーバーで、これも電力を消費する。データセンターの電力消費が急増しているのが環境を汚染する可能性があるとして、大手のデータセンターユーザー、例えばAmazonなどは、できるだけ再生可能エネルギーで運用する方針で経営している。だが、現在見られる世界のエネルギー消費から見ると、情報通信技術関連での温暖化ガス排出は2013年の2.5%が、2020年には4%に上昇するという結論をフランスのプロジェクトが出している。これは旅客機(2018年のカーボン排出量の2%)よりも多く、自動車(8%)に近づこうとしている意味だとする。

グリーンピースはデータセンターの集積に警鐘を鳴らしている。IT業界はここ10年来、データセンターの消費電力を再エネに切り替えようとしているが、それよりもデータ処理量の方が増加速度は速いようだ。特に最近顕著になってきた映像の伝送量が増えることがこの傾向を助長している。ビデオのインターネットを利用した送受信が、データセンターと個々の端末の電力消費を押し上げているとのこと。問題は個々のユーザーは、自分のインターネットの利用がCO2排出に関わる可能性があるということに気が付かないということだろう。

このような情報技術はこれから発展途上国でも拡大することから、化石燃料による発電量を増大させるということも関係する。難しい課題を突きつけられたように思える。