効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■四国電力のDSM(Demand Side Management)

四国電力はさる5月8日、今年のゴールデンウイーク(GW)期間中に、太陽光発電による供給力が四国エリアの需要全体の88%に達したと発表している。前年の同時期と比べ8ポイント上昇した。電力系統につながる太陽光発電は四国内で月2万キロワットのペースで増えており、九州電力に続いて、一時的な発電停止を事業者に求める出力制御の可能性が高まってきている。四国内の電力需要に占める太陽光発電の割合が最も高まったのは、5日の正午~午後1時の間。213万キロワットの電力需要に対し、太陽光発電の最大出力が187万キロワットに達した。太陽光発電の設置がもう少し増えると、需要を上回る発電が太陽光でされることになり、他の発電設備は要らなくなるが、太陽光発電の不規則変動への対応と、太陽光発電が止まる夜の需要増大に備えて、一定の既存設備を稼働させておく必要がある。

この再エネ発電のピーク時に、出力制御を避けようとすれば、電力需要をその時間帯に増やしてやればよいことになるが、全需要家に対して電気をもっと使ってくれと依頼する方法はいまのところないと言える。四国電力関西電力中国電力との間に連系線を持っているために、中国電力との間の連系線しかない九州電力よりは、他へ逃がす手段がとりやすいが、中国、関西電力でも太陽光発電は増加しているから、いずれその手段もとりにくくなる。太陽光発電の出力制御を避ける、あるいは、削減量を下げるために、四国電力エコキュート電気温水器を使って、太陽が高く昇る時にヒートポンプのスイッチを入れて電力需要を人為的に増やす実証試験を開始している。エコキュートの電力容量が4kWだとすると、10万台ほどで昼間に温水作りをして対応できるのだろう。

繰り返しになるが、気象予報に基づき翌日の四国域内の太陽光発電量を予測し、四国電力グループの四国総合研究所が開発したDR(Demand Response、需要制御)技術を用いて、通常、夜間に行う電気温水器やエコキュートの沸き上げ運転の一部を翌日の昼間にシフトするというものだ。具体的には、同研究所から発信する信号を、中継局に経由させ、放送型無線通信により給湯器に設置する受信装置に届かせることで、湯沸かし時間をシフトさせる。今後、試験対象機種の電気給湯器(電気温水器・エコキュート)を設置する香川県内で顧客モニター40軒を募集する。この顧客モニターを対象に、2019年秋より約1年間をかけてデータを収集し、DR技術の確認とその効果の評価、顧客の利便性への影響評価を行うということだ。協力してくれた顧客には何かメリットがある施策、制度が必要になる。

夏の冷房需要を抑制するために冷房温度を高く設定するのは、下げDRと言われるが、今回のものは上げDRと言われる。この結果は他社にも利用されるだろうから、多少なりとも再エネ電力の出力制御を抑制する効果が全国に拡がるだろう。