効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■米国で石炭火力の停止増加

米国のトランプ大統領は、石炭産業を維持しようとする政策を打ち出しているが、大統領になってからの二年間に停止された石炭火力発電所の数は、オバマ前大統領の最初の4年の任期の間に閉鎖された数を上回ったと言うことだ。オバマ前大統領の二期目には石炭火力に厳しい規制がかけられた。EIAの使用によると、2013年から2016年の間に30のプラントが閉鎖されている。一方、トランプ大統領の一期目の間には、20の停止が想定されている。

トランプ氏は、オバマ時代の厳しい廃棄基準を緩和しようとしているが、さらに停止数は増えると想定され、2019年の新設計画は規模の小さい一基のみとなっている。

この背景には、石炭価格が天然ガスと競争できる水準ではなくなっているという要因がある。そして、環境に優しい再生可能エネルギーによる発電に市場を奪われるようになっている。IPCCが昨年10月に出したレポートによれば、これまでにないレベルで炭酸ガスの排出量を減らさなければ、地球の温度を元に戻すことができないようになるという。その中でも重要な対応策が石炭消費の削減である。2017年の米国では、石炭火力は、エネルギー関連設備全体が排出する炭酸ガスの26%を占めていた。これによって石炭産業に働く人達が職をうしなうことは確かだが、その人達が新しい職場を見つけるのは難しいものではないだろうとも言われている。古くからある職場には優秀な人が働いていると考えられるからだという。

一方日本では、石炭火力の新設が増えている。確かに大気汚染物質の排出は他国のものに比べて非常に少ないのは事実だが、温室効果ガスである炭酸ガスの排出は同じだから、地球温暖化を日本も加速させていると言える。日本では石炭火力発電の割合が2012年の31.0%から2016年の32.3%へと増加しているのだから、明らかに地球温暖化を後戻りできないレベルになるのに力を貸している。

最近大阪ガスが、参加していた石炭火力発電プロジェクトから離れる決断をしたのは、これからの日本の方向を示唆するものになるかも知れない。排出する炭酸ガスを除去する技術開発に力を入れるという政府の方針だが、開発が実用に至るまでには時間がかかる。日本も脱石炭火力に向かう必要があるだろう。