効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■平成時代のエネルギーと環境問題

昭和天皇崩御されて年号が平成に変わったとき、家族ともどもロンドンに住んでいたことから、時代の変化を具体的に感じた部分が少ない。平成元年の夏過ぎに日本へ戻ってきたが、時代の変化を見ようとする触覚は持っていなかった。今日平成時代の最終日に、今上天皇の退位の儀式の報道などを見ていて感じたのは、今上天皇ご夫妻が国の象徴というものを具体的な形で国民に示し、肌に感じさせたのだということ。おそらく天皇お一人ではここまでには進展しなかったのではないかと思う。皇后美智子妃殿下の貢献度は極めて大きいという感じがする。

この時代のエネルギー関連の事象で自分が関心を持つ、あるいは関与したものを振り返ってみると、エネルギーと環境を巡る新しい転機が平成に起きたと実感する。97年12月に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)は地球環境問題解決に向けた具体的な行動の方向が示された。だが、これについて日本が積極的な対応をその後したかと言えば、どうも腰の定まらない姿勢が続いている。

スリーマイル島原子力発電所事故(1979年)、チェルノブイリ原発事故(1986年)は昭和の時代に起きて、そのような重大事故が日本で起きることはないと言われていたが、東日本大震災による津波で起きた福島第一原子力発電所の事故(2011年)は、前の2つが操作ミスから起きたものだったのとは異質で、自然災害によって想定していなかった被害が及んで事故となったものだ。想定は人が行っているから人災かも知れないが、原発の安全性について基本となる問題を提示したという点で、世界の原発への懐疑心を固定化したと思う。これは令和の時代に入っても日本の対応は世界の方向とは大きくずれて続く可能性がある。令和の時代の間に日本の原子力政策がどのようになるかは見えていない。使用済み核燃料の処理方法が世界的に見ても定まっていない現状を見ると、この側面でも日本の対応は難しいだろう。

自然エネルギーによる電力利用については、太陽光発電では日本は中国、米国に次ぐ3番目の地位を占めているが、風力発電については弱小である。今後風力利用をどのように進展させるかについては、洋上風力発電に期待せざるを得ない。太陽にしろ、風力にしろ、導入への障壁が高くなっている。送電系統が大規模発電所向けに設計されているのを分散型電源対応に変更するのに抵抗する旧電力業界の力がまだ強いからだ。これが、令和に入って大きく転換することを期待している。

令和を象徴する新天皇皇后陛下は、これまでとは違った形にはなるだろうが、基本的な方向に変化のない道を歩んでくださると期待している。