効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

石炭火力からの二酸化炭素除去

三菱重工が石炭を燃料に使う火力発電所から、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出を大幅に抑えることのできる次世代型の石炭火力発電所をオーストラリアに建設する。発電能力は53万キロワットというから、規模としては実用的になるものだ。近くオーストラリアのクイーンズランド州政府が全額出資するプロジェクト運営会社と事前の事業化調査のための契約を結ぶと報じられている。商業運転も可能な大規模な次世代型石炭火力発電所の建設は世界でも初めて。これだけの規模のものができるとは知らなかった。受注総額は約2千億円で2015年の稼働を目指している。
このプラントは、石炭を燃やして蒸気発電をして、その燃焼排ガスから二酸化炭素を取り出すという方式ではなく、まず石炭をガス化して二酸化炭素を減らす技術と、そのガスを燃焼させてガスタービンを回して発電した後に出てくる二酸化炭素を回収し、地中に埋めるCCS(カーボンキャプチャーシステム)技術を組み合わせたものだ。ガスタービンからの高温排ガスで蒸気発電をするコンバインドサイクルにもなるから、二酸化炭素の排出を従来の石炭火力発電所より60〜90%削減できるという。これが実現すれば、石油や天然ガスを使う火力発電所からの排出よりも大幅に少なくなる。化石燃料の中で石炭の埋蔵量はもっとも多く、中国、米国、ドイツ、オーストラリアなどの火力発電所の多くが使っている。この技術はどうしてもコストがかかるのは避けがたいが、石炭依存から逃れられない以上、地球温暖化防止のためのコストと同等に見られる程度のものにして実用化しなければならない。
オーストラリアの天然ガス田では、炭酸ガスの多い場合にはそれを回収してまたガス田に戻しているところがあると聞いている。技術的には可能だろうし、オーストラリアにはガス田も多いから、地中に戻すのもやりやすいだろう。石炭のガス化は、石炭の性状が産地によって大きく異なるために、それほど簡単なものではないと聞く。しかし、このような実証試験を重ねて早期に実用化してほしいものだ。ガス化ができれば産炭地でガス化してパイプラインで送ることもできる。時間のかかるプロジェクトだが、日本の技術が認められるとすれば、大きな貢献になるだろう。