効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■送電網に財政支援 再生エネ普及へ経団連提言

経団連が近くまとめるエネルギー政策の改革に向けた提言で、再生可能エネルギーの普及を底上げするため、送電網の整備を国が資金面で支援するよう求めると報じられている。送電網の容量不足が再生エネの普及の足かせになっているとの指摘が多く、国が財政投融資の活用で支援するよう要請し、国内で約8割を占める火力発電への依存度を下げ、地球温暖化対策をさらに進めるという内容のようだ。

しかし、安易に送電網の強化を提言し、しかも、国の金でやるようにということだから、電力、それも送電網を保有する旧電力事業の意向を受けたものに違いない。地球温暖化対策という隠れ蓑の影で、系統増強より前になすべきことをせずに、税金を使わせようというものだ。系統増強が必要だとしても、そのコストは本来的には2020年の完全自由化後の送配電事業者が負担して、それを利用する大手を含めた全ての電力小売事業者が負担し、それを最終的に電力消費者が負担すべきものだろう。その原則の上にたって、国の資金を使うかどうかは判断されるべきものだ。

さらに、系統増強より前に、再生可能エネルギー導入の可否を左右する送電系統の空きがどのように分布しているかをきっちり情報として示す必要があるだろう。2020年から送配電事業は小売事業とは別事業になるが、旧大電力会社の傘下にはグループ会社として残るから、大電力ホールディング会社の収益性を左右する。だから、送電系統の強化コストを増やしたくない。現在再エネ事業者が系統接続をするときには、系統増強が必要であればそのコストは再エネ事業者が負うのが通常だ。しかも、系統増強が必要だとする理由の背景が必ずしも明示されてはいないようだ。欧米では、(とは言いたくないが)、再エネは優先接続され、それに必要なコストは系統側が負担することになっている。送電系統の利用状況も詳細には開示されていない現状を改め、公正な公開ができるようにする制度設計をすることが望まれる。それを抜きにした今度の経団連の提言は、あまり真面目に対応する必要はないだろう。電力広域的運営推進機関の位置づけも明確にするということも重要。