効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■未稼働太陽光発電の排除

経済産業省は発電の認可を得たのに長い間、施設を稼働しない太陽光発電事業者を排除することになったらしい。これは固定価格買取制度発足時の制度設計の大きな誤りだった。発電認可を受けた時点の買取価格が、何年も稼働に入らなくても、当初の価格が維持されることになっていたために、太陽光パネルのコストが急速に下がることは確実であったことから、事業者に設置を急ぐインセンティブが働かなかったのだ。稼働したくても系統接続が出来ないために待機している事業者もあったとは思うが、それについても、送電線の空き容量を有効に使おうとする施策も進み出したので、次第に動き出すだろうが、ここでも稼働しないで放置していても損をしない仕組みだったことが大きな問題となっていた。儲け主義がはびこるとされたのも当然だろう。

国は再生エネの普及を目的に、太陽光発電などの電力を大手電力が一定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」(FIT)を2012年に始めたが、認定を得た事業者の太陽光発電は18年9月時点で約6500万キロワット分あるが、このうち3000万キロワット分は未稼働だというから、半端な比率ではない。認定を受けた事業者は将来の発電開始に備え、送電線を使う権利を持つ。発電パネルの値下がりや権利の転売を狙って未稼働の事業者が送電枠をおさえる現状では、地域によっては新しい再エネ事業者の参入が難しくなっている。経産省は長期にわたり未稼働の太陽光は買い取り価格を下げることを2018年末に決めたが、放置される事業が増える懸念があるため、改めて撤退を促す措置をとることになったものだ。

この裏には、旧電力会社が管理する送電系統に、小さな電源が接続されるのを忌避したという側面もある。自社電源の送電を優先させたからだ。停止している発電設備の容量も加えたために、再エネに回せる枠にシワ寄せが来ていた。その解消には送電線の容量を増強するのが解決策の第一だが、そのためのコストを誰がどのように負担するかが課題となる。未稼働のママの太陽光発電の権利を取り上げるのも一つだが、いずれは容量増強をしなくてはならない、欧米のように再エネ接続を優先させる制度になっていないから、日本独自のコスト負担方式を新たに考えなくてはならない。それにあまり時間をかけられない時期に来ている。