効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■日本の新しいCO2削減目標

政府の有識者会議は、日本から出る温暖化ガスの二酸化炭素(CO2)を今世紀後半の2070年ごろまでに「実質ゼロ」とする新たな目標案をまとめたと報じられている。これまでは、50年に8割削減する目標を示してきたが、6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で議長国として温暖化対策の議論をリードするためには、従来の数字では通用しないからだろう。CO2を回収して資源に加工したり、温暖化ガスを出さない水素エネルギーの生産コストを1割以下に下げたりするなどで実現を目指すということだ。4月2日に開く予定の有識者会議で目標案を議論し、政府は6月にも対策と共に国連に提出する方針。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で国連に対策の提出が必要な主要7カ国(G7)のうち、排出の実質ゼロを掲げるのは初めてという。実現性に対して疑問が出されるかも知れない。

その具体策として、CO2を回収して都市ガスの主成分であるメタンにする技術、太陽エネルギーで燃料を作る人工光合成などの開発に取り組むとあるが、メタンにするのはすぐに燃料として消費されてCO2は再度排出されるから、そのCO2を再度回収しなければならず、あまり有効な方式とは思えない。人工光合成はまだ実用的に利用できる段階にはないから、太陽光で藻類を大量に繁殖させ、それから石油代替燃料を作る方がまだやりやすいような気がする。これもまだ実用化の段階にはないが、一部実証試験も行われているはずだから、この方策を織り込む方が実現性は高いだろう。

水素の製造費を50年までに現在の1割以下にし、天然ガスより割安にして普及を促すという具体策も示されているが、これだけのコスト削減をするには、消費量を押し上げる施策も必要になる。水素製造には再生可能エネルギーからの電力を使わなければ意味がないから、再エネの運用規模も拡大する必要がある。水素を使う設備のコストを下げる必要もある。かなり絵に描いた餅的な施策のような気がする。