ビッグサイトの2日目、広い展示場の一番奥にある火力発電関連の展示を見て、多面的な水素社会の到来を肌身に感じた。水素を直接燃焼させるタービンなどに関連した展示も行われていたからだ。午後、英国のリサーチ会社Delta Energy & Environmentの女性リサーチャーのお伴をして燃料電池の展示場を回ったが、これも全て水素を基本としてエネルギーシステムである。水素を水素吸蔵合金に入れて貯蔵・輸送するボンベを目の前にすると、LPGと同様に水素が宅配されることもそれほど無謀な話ではないようだ。いま宮城県で、生協が水素ボンベを宅配する実証試験が行われている。実現は難しいと感じていたのが、このようなシステムが遠からず実現するかも知れないと感じるようになった。水素宅配の場合、純水素を燃料として使用するため、現在の水素関連の安全規制をかなり変えないと普及は難しいだろうが、社会的なニーズがこの壁を壊すかも知れない。
昔、天然ガスを燃料にした乗用車の普及を図るために、住宅に充填装置を設置できるように取り組んだが、結局安全基準が緩和されず、トラック用にしか実用化しなかったことがある。燃料電池自動車の水素充填には高圧水素が必要だから、自宅で充填は難しいが、家庭用の燃料電池には低圧水素が利用できるから、水素関連の安全規制が案外早く緩和されるかも知れない。